国勢調査の水増しは公僕にあるまじき不正、富山市の責任重い
国勢調査の水増しは公僕にあるまじき不正、富山市の責任重い

国の姿を示す基礎となる国勢調査のデータに間違いがあってはならない。ましてや、これをごまかす不正行為がどれほど罪深いのか分かっているのか。

令和7年に実施した国勢調査で人口を水増しした疑いがあるとして、総務省が統計法違反罪で富山市職員を氏名不詳のまま富山県警に告発し、同県警が市役所を家宅捜索した。国勢調査の調査事務は国が市町村に委託している。

富山市の職員は、国勢調査員が現地調査で「居住実態なし」として抹消した世帯について、特段の根拠もなく「存在するもの」として取り扱うなど、事実に反することをした疑いがある。

公僕にあるまじき不正

国民・市民に奉仕する公僕にあるまじき不正だ。国勢調査への信頼を揺るがした富山市の責任は極めて重い。

藤井裕久市長が16日の記者会見で「一部職員や特定の部署だけでなく市役所全体の問題と受け止め、見つめ直すことが重要だ」と述べたのは当然だ。組織の問題点を洗い出し、再発防止を徹底しなければなるまい。

確定値で40万人割れ

5月公表の速報値では、昨年10月1日時点の富山市人口は40万2133人だった。だが、総務省が市の提出資料を調査したところ水増し疑惑が発覚し、9月29日に示した確定値では39万9197人へと改めた。速報値より2936人も少なく、40万人を割り込む結果である。

国勢調査を巡り統計法違反罪で総務省が告発するのは初めてだ。それだけ悪質だということだろう。真相解明に向けた徹底的な捜査に期待したい。

住民基本台帳と国勢調査員の調査に乖離(かいり)があり、これを縮めるため水増ししたとされる。藤井市長によると副市長ら幹部の関与はなく、指揮命令系統が機能不全だった可能性がある。富山市では事務手続きと確認体制が適切に機能しているかを総点検する。改善への道筋を早期に示してもらいたい。

統計の信頼性を守れ

国勢調査は日本に住む全ての人と世帯を対象に5年に1回実施される。住民票に基づく住民基本台帳と違い、生活実態や就業状態なども詳細に調べる。その結果は、国政選挙の「一票の格差」是正や地方交付税交付金の算定、福祉や教育、経済などの施策に活用される。

虚偽の統計が国の政策をゆがめ、国民生活に影響を及ぼしかねないことを銘記すべきである。