業務委託と偽装請負の境界線、弁護士が警告する法的リスク
業務委託と偽装請負の境界線、弁護士が警告

業務委託契約と偽装請負の境界線について、弁護士が法的リスクを警告している。業務委託は請負契約の一種で、発注者が指揮命令権を持たず、成果物に対して報酬を支払う形態だ。一方、偽装請負は実質的に労働者を雇用しているにもかかわらず、契約形式上は請負と偽る行為を指す。

偽装請負の判断基準は指揮命令権

弁護士の山田太郎氏(仮名)は、「偽装請負か否かの最大の判断基準は、発注者が業務遂行中に指揮命令権を行使しているかどうかです」と指摘する。具体的には、作業時間や場所の指定、業務の指示、進捗管理などが該当する。これらの要素があれば、労働者性が認められ、労働基準法や労働契約法の適用対象となる。

実際、厚生労働省のガイドラインでは、請負と労働者派遣の区分を明確にしており、指揮命令権の有無が重要な要素とされている。違反した場合、労働基準法第6条の「中間搾取」や同法第5条の「強制労働」に該当する可能性がある。

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企業に潜む罰則リスク

偽装請負が発覚した場合、企業は罰則を受ける。労働基準法第118条では、違反に対して6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。さらに、労働者派遣法違反として、事業停止命令や改善命令が出されることもある。

山田弁護士は「特に注意すべきは、業務委託契約を結んでいても、実態として発注者が日々の業務を指示しているケースです。この場合、裁判所は労働契約の存在を認める傾向にあります」と警告する。過去の判例では、業務委託契約を結んでいたプログラマーが、実際には会社の指示で働いていたとして、労働者性が認められた事例がある。

契約書の明確化が必須

リスクを回避するには、契約書の明確化が不可欠だ。業務委託契約書には、成果物の定義、納期、報酬額、再委託の可否などを明記し、指揮命令権を行使しないことを明文化する。また、実際の業務運営では、発注者が作業時間や場所を指定しない、進捗報告を義務付けないなどの配慮が必要だ。

山田弁護士は「企業はコスト削減のために業務委託を活用したがりますが、実態が雇用に近いと、後々大きな法的リスクを抱えることになります。契約書と実態を一致させることが重要です」と強調する。

さらに、労働者側も注意が必要だ。業務委託契約で働く場合、自分が独立した事業主として扱われるため、労働者としての保護(残業代、有給休暇、社会保険など)を受けられない。しかし、実態が雇用であれば、労働基準法に基づく権利を主張できる。

今後の動向と対策

政府は、働き方改革の一環として、業務委託と雇用の境界を明確にするための法整備を進めている。2024年には、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行され、フリーランスの保護が強化される。これにより、業務委託契約の透明性が高まり、偽装請負の摘発も増えると予想される。

企業は、人事・法務部門が連携して、既存の業務委託契約を洗い出し、実態に即した契約形態に変更する必要がある。特に、IT業界や建設業界など、業務委託が普及している分野では、早急な対応が求められる。

総じて、業務委託と偽装請負の境界線は指揮命令権の有無にあり、違反すれば罰則リスクが伴う。企業はコンプライアンスを徹底し、労働者も自身の権利を理解した上で契約を結ぶことが重要だ。

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