約半数が天気痛を自覚、女性は3人に2人
ウェザーニューズは7月7日、「天気痛調査2026」の結果を発表した。調査は2026年6月7日から19日にかけて、同社の「ウェザーニュース」アプリを通じて実施され、設問ごとに異なる回答数を集計した。
「天気痛をどの程度自覚していますか?」という質問に対し、「自覚している」が24%、「天気痛かもしれないと思う」が25%で、合計49%に達した。これは約2人に1人が天気や気圧の変化による体調不良を感じていることを示す。男女別では女性で「自覚している」が37%、「天気痛かもしれない」を含めると67%に上る一方、男性は合計40%にとどまり、女性の方が天気痛を感じる割合が高い結果となった。
都道府県別では徳島県が最多、西日本で傾向顕著
都道府県別で「自覚している」「天気痛かもしれない」を合わせた割合が最も高かったのは徳島県(61%)、次いで島根県(58%)だった。西日本や関東では5割を超える地域が比較的多く、気圧変化や降水の影響を受けやすい地域で自覚する人が多い傾向が見られた。
同社の予報センターで「天気痛予報」を担当する大塚靖子気象予報士は次のようにコメントしている。「低気圧による気圧変動の影響は通常、北日本~東日本で大きい傾向にありますが、今回の調査や過去に行った同様の調査(2020年、2023年、2025年)でも、西日本で天気痛を感じる人の割合が多い地域が見られました。この理由として、西日本では台風が中心気圧の低い状態で接近・通過しやすいこと、また、南から接近する台風に先立って微細な気圧変動(微気圧変動)が到達しやすい場所であることが影響していると考えられます。天気痛は気象以外にも、体質や生活環境など様々な要因が複雑に絡んで起こりますが、台風接近時に天気痛のリスクが高まりやすい地域であるということが、西日本で天気痛を感じる人の割合が大きい地域がある要因の1つになっている可能性がありそうです。」
男女とも40代で発症最多、女性は若年から傾向
天気痛を感じ始めた年代について、男女ともに最も多かったのは40代で、全体の2割以上を占めた。40代は仕事や家庭など生活環境の変化が重なりやすく、ストレスや睡眠不足などによって自律神経のバランスが乱れやすい年代でもある。一方で、女性は男性よりも若い年代から症状を感じ始める傾向が見られ、半数以上が30代までに発症していた。男性では40代に続いて50代が多く、比較的遅い年代から症状を自覚する人が多い結果となった。女性は思春期や妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとにホルモンバランスが大きく変化するため、こうした身体の変化も天気痛の発症時期に影響している可能性がある。
気圧医学の第一人者である佐藤純医師は次のように解説する。「生物学的に男女には差があり、女性は首が細かったり、女性のほうが感覚が鋭かったり、自律神経が弱いのは間違いありません。つまり、女性のほうが天気痛や気象病になりやすい要素が多いと考えられます。自分の体調不良がひょっとすると天気の影響かもしれないと考えてみることをお勧めします。正しい治療によって天気の影響をカットすることで、思いのほか体調が良くなった。そんな経験をすることで、悪い方向に向かって回っていた歯車が、いい方向に向かって回り始めます。すると自分のなかで、小さな成功体験が積み重なっていきます。うまくいった経験を繰り返し重ねることで痛みへの認知が変わり、自分の力を発揮して痛みや不調とうまく付き合っていく、そしてゆくゆくは克服する方向へと変わっていけるのです。」
3割が梅雨や台風シーズンが特につらいと回答
天気痛の症状が特につらい時期については、「1年を通してあまり変わらない」が3割超で最多、次いで「季節の変わり目全般」が3割を占めた。季節別では「台風シーズン」が16%、「梅雨」が14%だった。急激な気圧低下にさらされる台風接近時や、雨によって湿度が高くなる梅雨の時期に、頭痛やめまい、倦怠感などの症状が出やすくなるようだ。一方、「1年を通してあまり変わらない」と回答した人が最も多かったことから、天気痛は特定の季節だけの症状ではなく、年間を通じて繰り返し現れる慢性的な症状として悩んでいる人も少なくないことがうかがえる。
3割が「年々つらくなっている」と実感、症状悪化が改善を大きく上回る
天気痛の症状の経年変化について、「変わらない」が65%で最多だったが、「年々つらくなっている」と回答した人は30%に達し、「年々軽くなっている」(5%)を大きく上回った。症状が悪化していると感じる人は、改善を実感している人の約5.5倍にのぼる。近年は記録的な大雨や猛暑、台風の大型化など極端な気象現象が増えていることに加え、急激な気圧変化を伴うケースも少なくない。こうした気象条件が、症状を以前より強く感じる要因の一つになっている可能性がある。
女性は月2回以上が半数超、約7割が医療機関未受診
症状の頻度について、女性では「週1回以上」が25%、「月2~3回」が32%で、月に2回以上症状を感じる人が半数を超えた。男性でも「月2~3回」が23%で最多で、「週1回以上」「月1回程度」を合わせると半数を超える。天気痛は一時的な体調不良ではなく、定期的に繰り返し現れる症状として生活に影響を及ぼしていることがうかがえる。
一方、「天気痛と診断されたことがある」と回答した人はわずか6%で、「受診したことがない」が約7割に達した。多くの人が症状を自覚しながらも医療機関を受診していない実態が明らかになった。「病院へ行くほどではない」「何科を受診すればよいかわからない」と感じ、自己判断で様子を見る人も少なくないのかもしれない。
佐藤医師は次のように述べている。「何科にかかったらいいのか分からないなど、はじめの一歩を踏み出せない人は、まずは、自分の症状を理解してくれる医療機関を見つけることが重要です。天気痛の代表的な症状は頭痛、肩こり、首こりですが、その人が持っている不調に応じて症状はさまざまです。そのため、頭痛外来などの専門の診療科を選んで受診するのは良いと思います。ただし、天気痛はエビデンスがまだ少ない病気です。そのため、残念ながら医師の中にも天気痛に懐疑的な人もいますし、治療経験のある医師は多くありません。場合によっては、『天気が悪くなると体調が優れない』と相談しても、『気のせい』と言われてしまう可能性すらあります。私はこの問題を解決するために、天気痛や気象病に理解のあるドクターグループを立ち上げました(臨床気象病研究会)。ホームページからお近くの先生を探してみて受診してください。」
症状が出ると4割は1日以上継続、若い世代ほど長引く傾向
一度症状が出た場合の継続時間について、「1日以上続く」と回答した人は約4割で、「数時間で回復する」は1割未満にとどまった。多くの人が長時間にわたり不調を感じていることがわかった。年代別では20代・30代で症状が長引く傾向が最も顕著で、「1日以上」と「2日以上」を合わせると約2人に1人が長時間症状に悩まされている。10代でも4割を超えており、若い世代ほど症状が長引きやすい傾向が見られる。
市販薬が最も効果的、一方で「対処方法が分からない」声も
天気痛対策として最も効果を感じるものは「市販薬」が最多で、次いで「横になる」「処方薬」が続き、市販薬と処方薬を合わせると約4割となった。特に30~50代では半数以上が「薬が効果的」と回答している。一方、「天気痛の症状があっても我慢する理由」として、「症状が軽いから」が最多だったが、「対処方法が分からない」「薬に頼りたくない」といった回答も目立った。女性では「薬に頼りたくない」、男性では「対処方法が分からない」が比較的多く、「昔から我慢するものだと思っている」「周囲に理解されにくい」という声も一定数あった。
佐藤医師は次のように述べている。「天気の影響を受ける人は、天気が変化するたびに体調が悪くなるので、どうしても痛み止めに頼ってしまいがちです。しかし、痛み止めを飲み過ぎると薬が効かなくなってくるので、痛みを我慢しないといけない状況になってしまいます。天気痛予報で天気の変化を事前に予想できれば、痛みがひどくならないうちに、効果的に痛み止めを服用できるようになるので、自分の傾向を把握して、タイミング良く服用するようにしましょう。かかりつけ医に相談する際には、天気痛予報で症状記録をつけて、客観的な事実を示しながら相談するとよいでしょう。」
半数以上が雨の半日以上前から体調変化、年齢とともに早期感知傾向
雨が降り始める前の体調変化について、「1日以上前」が28%、「半日ほど前」が25%で、半数以上が雨の半日以上前から体調の変化を感じていることがわかった。低気圧が近づいて気圧が変化し始めた段階で症状を感じる人が多いことが確認された。男女別では、「1日以上前」と回答した割合は女性が34%、男性は21%で、女性の方が早い段階で変化を感じる傾向があった。
低気圧や台風が来る前の症状発現については、「1日前」が39%で最多、「2日以上前」が21%で、約6割が前日までに身体の変化を感じている。年代別では、「2日以上前」の割合は30代以上で2割を超えた一方、10代・20代では1割程度で、年代が上がるほど早期に気圧変化を感じる傾向が見られた。年齢とともに体調変化に敏感になり、経験から自身の変化に気付きやすくなっている可能性が考えられる。
症状緩和策にかける費用は全国平均1,640円/月、若い世代ほど高額
天気痛の症状緩和にかける毎月の費用は、全国平均で1,640円(お金をかけている人のみ集計)となった。都道府県別では高知県と山形県がともに2,500円で最高、次いで群馬県(2,425円)、奈良県(2,375円)、島根県(2,091円)となった。年代別では20代が2,725円で最も高く、次いで~10代(2,625円)、50代(1,781円)で、若い世代ほど対策費用をかける傾向が見られた。男女別では男性が月平均1,817円、女性が1,771円で大きな差はなく、性別を問わず多くの人が継続的に対策に取り組んでいることがわかる。



