緊急事態宣言後、若者の精神科受診が増加 早稲田大が研究結果
緊急事態宣言後、若者の精神科受診が増加 早稲田大が結果

早稲田大は20日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言後、若者の精神科外来受診が増加したとする研究結果を発表した。今後の感染症流行などの公衆衛生上の危機に備え、年齢や地域ごとに精神科医療の利用状況を継続的に把握する必要性を示す結果だとしている。

20〜24歳で変化が最も大きく

早稲田大人間科学学術院の可知悠子准教授らの研究グループが、全国の医療保険データを用いて、2013年4月から24年4月までの精神科外来・入院の利用状況を分析した。その結果、最初の緊急事態宣言後、15〜39歳と60〜69歳で精神科外来受診の増加傾向が加速し、特に20〜24歳で変化が最も大きいことが判明した。

その変化の大きさには地域差が見られたとし「今後、新たな感染症流行や大規模災害など、人々の生活や社会活動が大きく制限される事態が生じた際には、全国一律の指標だけではなく、年齢や地域ごとにメンタルヘルスや精神科医療の利用状況を継続的に把握する仕組みが重要と考えられます」と指摘した。

宣言期間が長い地域で増加幅拡大

可知准教授らの研究グループによると、新型コロナウイルス感染症の流行初期には、感染への不安や医療提供体制の混乱などにより、精神科を含む医療サービスの利用が一時的に減少していたという。その後、海外では精神科外来や救急医療、入院などの利用が再び増加し、とくに若年層などで変化が大きかったことが報告されている。

研究グループの調査では、緊急事態宣言が繰り返し実施された期間が長い地域では、人口10万人当たりの1日平均精神科外来受診件数について、緊急事態宣言後の増加傾向が宣言前と比べて1ヶ月当たり0.54件分大きくなったことが分かった。中程度の地域では0.34件、実施期間が短い地域では0.42件だった。

精神科入院は減少、外来への置き換えでは説明できず

一方、精神科入院については、多くの年齢層・地域で緊急事態宣言後に減少した。25〜69歳の多くの地域では、外来の増加幅が入院の減少幅を上回っていたとし「単に入院から外来へ医療が置き換わっただけでは説明しにくく、精神科医療サービス全体の利用増加が示唆されました」と説明した。

研究グループはこれらの結果を受けて「コロナ禍後の精神科医療利用の変化が年齢や地域によって大きく異なり、とくに若年層で外来受診の増加が顕著であることが示されました」と強調。「若年層など影響を受けやすい集団を早期に把握し、地域での相談支援や外来医療へのアクセスを確保することは、将来の公衆衛生上の危機への備えにもつながります」と指摘した。