読売光と愛の事業団は、子どもの健全育成に取り組む団体を支援する「子ども育成支援事業」の今年度の助成先を決め、山口県内からは下関市のNPO法人「Kananowa(かなのわ)」が選ばれた。助成額は40万円で、子どもに提供する食事の費用などに役立てられる。
居場所づくりと食事提供
同法人は下関市上新地町の事務所を拠点に「照子親(てらこや)」活動を展開。地元の文洋中校区の小中高校生の居場所として開放して寄り添い、食事を低額で提供するなどして保護者の負担軽減にも寄与している。スタッフは理事長の前田亜樹さん(48)ら7人。主婦や大学生ら約30人のボランティアや、約20の企業・団体の協力を得て、行政とも連携している。
平日は小学生向けの「放課後学習教室」(約40人)と、中学・高校生対象の「夜の勉強会」(約30人)を開き、夕食を提供。食事だけの利用を含めて連日、計120~150食を用意する。誕生日会やクリスマスイベントなども企画。夏休みの平日には学校の校舎を借り、昼食付きの小中学生向け勉強会も行っている。
体験格差の解消と新たな取り組み
家庭環境の違いによる体験格差を減らそうと、自然体験や社会見学などの催しも開催。高校生の就職に関する体験教室は、企業とのマッチング機能も果たしている。
今年度からは新たに、空き家問題など地域課題を学ぶ取り組みをスタート。小学生が空き家の状況を確認したり、中学・高校生が空き家のリノベーション作業を体験したりしている。校区外の不登校児童・生徒の受け入れも始め、来年度は2倍の10人に増やすことを検討中だ。
一方、保護者同士がつながる場として年3回、夕食交流会を開催。参加者は毎回50~60人を数える。
活動の原点と今後の展望
同法人の活動資金については手作りパンの販売収益や、放課後学習教室など行政の委託事業の受託費、企業の寄付金、各種団体の助成金などで確保している。
前田さんは2016年、前身の任意団体を有志5人とともに設立した。きっかけは難病のため35歳で亡くなった市内の女性教諭の思いをまとめた本。今ある日々に感謝し、やりたいことを行動に移す大切さを訴える内容に感銘を受けた。
PTAの活動や研修を通し、寄り添いが必要な子どもや保護者が少なくないことを知っていたことから、自身も役に立ちたいと自宅を拠点に活動を始めた。地域密着で人の輪が広がって活動は徐々に拡大し、団体は23年12月にNPO法人化。24年1月には拠点も現在の事務所に移した。法人の名称は教諭の名前にちなみ、「佳奈の輪」から付けた。
助成決定について、前田さんは「活動の維持・拡充には資金が必要。子ども側の負担を増やさないためにも、助成金は本当にありがたい」と感謝。「これからも協力の輪を大切に、子どもたちが心から安心でき、夢も育める居場所づくりを地道に進めていきたい」と話している。



