犬は毎日散歩するが、数十キロもゼーゼー言いながら走ったりしない。平地を楽しく歩く、もしくは軽くかけっこするだけ。階段よりもスロープを好み、しょっちゅう伸びをする。朝起きても伸び、昼寝の後も伸び、まるでヨガのようだ。
「心臓は力任せに縮むのではなく、柔らかく開いて、反動で押し出すしなやかさが重要です。無理な運動よりウォーキングやストレッチ・ヨガで体を柔らかく保つことのほうがずっと大事なんです」と、東京ハートリズムクリニック新宿の井上健司院長は語る。
40~50代からは「足し算」より「引き算」
現代人は健康になろうとするとき、高価なサプリや激しい運動など、つい何かを増やす「足し算」をしてしまいがちだ。しかし、井上院長が勧めるのは見事な「引き算」である。
まず食事量を減らす。いびき(睡眠時無呼吸)やアルコールの負担を減らす。心臓や関節を痛めつける無理な運動を減らす。犬のようにただ平地を歩き、伸びをし、足腰の筋肉をしなやかに保つ――。
いびきは放置しておくと心臓に負担をかけている可能性がある。睡眠時無呼吸症候群は心臓に酸素不足をもたらし、不整脈の原因となる。深酒も同様に心臓に負荷をかけ、特に40代以降は注意が必要だ。
不整脈の根本治療「カテーテルアブレーション」
もし万が一不整脈になっても、今はカテーテルアブレーションという強力な味方で安全に根本治療できる時代になった。カテーテルアブレーションは、心臓内の異常な電気信号を発生させる部位を高周波で焼灼する低侵襲手術で、多くの不整脈を根治できる。
井上院長は「過度に怯えることなく、自分の体のメンテナンスに集中すればいい」と述べる。たった一つの大切なエンジン(心臓)を守り、40~50代からの人生後半戦をできるだけ長く、快適に走らせるために。
井上健司院長は1992年順天堂大学医学部卒業。聖路加国際病院で研修後、順天堂大学で循環器内科医として研鑽を積み、アメリカ留学も経験。順天堂大学医学部附属練馬病院では准教授として診療・指導にあたる。確かな技術と患者に寄り添う診療スタイルで多方面から高い評価を得ている。



