いびきや深酒、無理なマラソン――これらは40代以降の心臓に深刻な負担をかける可能性がある。本人が気づきにくい睡眠時無呼吸症候群(SAS)や、アルコール性心筋症といった疾患が背景に潜み、放置すれば不整脈や心不全に至るケースも少なくない。一方で、不整脈を根本から治療する最新の手術も登場しており、早期発見と適切な治療が鍵となる。
いびきは心臓のSOS?睡眠時無呼吸症候群の危険性
「大きないびきをかく」「日中やたらと眠い」「朝起きても疲れが取れない」といった症状がある人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高い。SASでは睡眠中に何度も呼吸が止まり、そのたびに心臓に負担がかかる。血中酸素濃度が低下し、心拍数が乱れやすくなるため、長期的には心房細動などの不整脈や高血圧、心不全のリスクが上昇する。
最近の検査キットは、手首や指先に小さなセンサーを装着するだけで自宅で簡単に調べられるコンパクトなタイプが主流だ。伯耆原良子氏は「『ただのいびき』と放置せず、まずは調べてみることを強くおすすめしたい」と警鐘を鳴らす。
深酒が心臓をむしばむ:アルコール性心筋症の実態
毎晩の深酒は肝臓だけでなく、心臓にも重大な影響を及ぼす。アルコールの毒性や、体内でアルコールが分解される際に生成されるアセトアルデヒドの毒性によって、心臓の筋肉(心筋)が弱まる「アルコール性心筋症」を発症することがある。進行すると心臓のポンプ機能が低下し、最終的に心不全に陥る危険性がある。
「酒豪の方ほど『自分は肝臓の数値が良いし、強いから大丈夫だ』と思いがちです。でも実際には、肝臓より先に心臓がダメになってしまう方も少なくありません」と同氏は指摘する。アルコール性心筋症は初期には自覚症状が乏しいため、健康診断で肝臓の数値が正常でも安心はできない。
中高年のマラソン:過度な負荷が不整脈を誘発
無理なマラソンも心臓にとってはリスク要因だ。中高年になって急に長距離走を始めると、心臓に過度な負荷がかかり、心房細動などの不整脈を引き起こすケースが報告されている。特に普段の運動習慣がないままハーフマラソンやフルマラソンに挑戦するのは危険で、心筋の微小損傷や炎症を招く可能性がある。
専門医は「適度な運動は心臓に良いが、過度な持久運動は逆効果。自分の体力に合ったペースで行うことが重要」と注意を促す。
不整脈を根本治療する最新手術の実態
こうしたリスクを背景に、不整脈の根本治療として注目されるのが「カテーテルアブレーション」と呼ばれる手術だ。心臓内の異常な電気信号を発する部位を高周波や冷凍エネルギーで焼灼・凍結し、不整脈の原因を除去する。手術は局所麻酔で行われ、太ももの付け根などからカテーテルを挿入するため体への負担が少ない。
特に心房細動に対するアブレーションは成功率が高く、多くの患者で症状が改善する。従来は薬物療法が中心だったが、薬の副作用や効果不十分なケースでは手術が積極的に選択されるようになった。ただし、再発の可能性もあるため、術後も生活習慣の改善や定期検診が欠かせない。
まとめ:40代からの心臓ケアが寿命を左右する
いびき、深酒、無理なマラソンといった一見無害に見える習慣が、心臓に蓄積的なダメージを与える。早期にSAS検査を受けたり、飲酒量を適正に保ったり、運動強度を調整することで、不整脈や心不全のリスクを大幅に減らせる。最新の手術技術も進歩しているが、根本的には生活習慣の見直しが最も重要だ。



