シニアこそピラティス、体幹強化で転倒予防や尿漏れ改善に期待
シニアこそピラティス、体幹強化で転倒予防や尿漏れ改善に期待

体幹を中心に全身の筋肉を鍛えるエクササイズ「ピラティス」が、シニア層の間で広がりを見せている。体への負担が少なく、転倒予防や尿漏れ改善などの効果が期待できるためだ。訪問看護の現場で活用する動きもあり、健康寿命を延ばす選択肢として浸透しつつある。

シニアに広がるピラティス人気

8月上旬、東京都新宿区にあるピラティス・ヨガ専門の「zen place(ゼンプレイス)」のスタジオでは、穏やかな空気の中、講師の掛け声に合わせて受講者がゆっくりと呼吸しながら体を動かしていた。両膝をついて上半身をひねったり、横向きになってボールを持った手を伸ばしたりする動きに取り組む。約1時間のレッスンを終えると、受講者は充実感に満ちた表情を見せた。

この日はスタジオとオンラインを合わせて約20人が参加し、シニアの姿も目立った。新型コロナウイルス禍を機に家で過ごす時間が増えたため、ピラティスを始めたという古谷厚子さん(63)は「自分自身に集中することで頭と体がリフレッシュできた」と笑顔を見せた。3年以上ピラティスを続けている60代女性は「病気がちだったけれど、呼吸が深くなって血圧も安定するようになった。年齢を重ねても無理なく続けられる。これからも通いたい」と話した。

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負担少なく、転倒予防や尿漏れ改善に期待

ピラティスは体幹や背骨周りの深層筋を中心に鍛えるエクササイズで、しなやかな体を目指せるとして若い女性を中心に人気となった。関節への負担が少なく、寝た状態や座ったままでも取り組めるため、膝や腰に不安を抱えるシニアの間でも関心が高まっている。ゼンプレイスでは、全国150店舗の会員のうち50代以上が半数を占めるという。

ゼンプレイスで講師を務めるMakiさんは「ピラティスは骨や筋肉を本来あるべき位置に戻すもの」と説明する。バランス感覚や体幹の安定性向上につながり、シニアは腕の曲げ伸ばしや体のひねりなどの日常動作が滑らかになることや肩こりの改善、転倒の防止が期待できる。骨盤底筋が鍛えられることで尿漏れも予防できるという。

訪問看護での活用も進む

ゼンプレイスは、訪問看護やリハビリテーションのサービスも提供している。医療機関や介護サービス事業所と連携し、ピラティスを活用して後期高齢者らの体の動きの改善を図る取り組みで、担当者は「歩けなかった人が歩けるようになったり、腰痛が改善したり、高齢世代でピラティスの効果を実感する声は広がっている」とみている。

平均寿命が80歳代の日本で、日常生活を健康に制限なく暮らせる健康寿命は70歳代とされ、これをいかに延ばすかが充実した人生を送るためのカギになる。ゼンプレイスの担当者は「ピラティスを健康寿命の延伸につなげていきたい」と話している。

高齢世代の運動習慣は高い傾向

内閣府の「令和8年版高齢社会白書」によると、6年における運動習慣のある(1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している)男女の割合は、65~74歳で男性44.3%、女性36.4%、75歳以上で男性54.7%、女性44.4%で、より高齢のほうが運動習慣のある割合が高かった。20~64歳の男性は27.2%、女性23.4%だった。

現役世代に比べて高齢世代の方が運動習慣のある割合が高く推移しており、特に75歳以上の割合は上昇傾向で、男女とも6年が直近10回の調査の中で最も高い。健康への意識が高まる中、自由な時間が比較的多い高齢世代が運動に取り組んでいると推測される。厚生労働省は長く健康に暮らす「健康長寿」の実現に向けて、外に出て歩くことや階段を使うことなどを推奨しており、ストレッチや筋力トレーニングも効果的としている。

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