日常的に口が開いてしまう状態が続く「口唇閉鎖不全」、いわゆる「お口ぽかん」の子どもが増えている。近年の調査では、この症状に該当する子どもが約4割に上ることが判明した。これまで「お口の問題」といえばむし歯が中心だったが、予防歯科の普及によりむし歯は減少傾向にある。一方で、食べる・話す・呼吸するといった口腔機能の発達に課題を抱える子どもが目立つようになり、2018年には「口腔機能発達不全症」として保険診療の対象となった。さらに2026年6月の診療報酬改定により、歯科医療での管理や指導の枠組みも広がっている。
なぜ「お口ぽかん」になってしまうのか?
朝日大学歯学部教授の齊藤一誠氏は、原因について次のように説明する。「本来、人間は鼻で呼吸しますが、鼻炎などで鼻が詰まると口で呼吸せざるを得なくなり、それが成長の過程で定着して癖になってしまうことがあります。いわゆる扁桃腺が大きい子どもも、呼吸をしやすくするために口を開けがちです。また、乳児期にミルクや母乳をうまく飲めない、離乳食や普通食への移行がスムーズにいかないといった早期の口腔機能の問題が、『お口ぽかん』につながるケースもあります」
影響が出やすい「歯並び」や「顔つき」
「お口ぽかん」を放置すると、歯並びや顔つきに影響が出やすい。口が開いた状態が続くことで、舌の位置が下がり、上顎の発達が妨げられる。これにより、歯列が狭くなったり、出っ歯や受け口などの不正咬合を引き起こす可能性がある。また、顔つきにも変化が現れ、口元がたるんだり、あごが後退したように見えることもある。
「学習面」「運動面」「高齢期」にも悪影響
さらに、学習面や運動面、高齢期の健康にも悪影響を及ぼすリスクが指摘されている。口呼吸が習慣化すると、十分な酸素が取り込めず、集中力の低下や睡眠の質の低下につながる。これにより、学習効率が下がったり、運動時の持久力が落ちたりする可能性がある。また、高齢期には、口腔機能の衰えが全身の健康に影響を与えることも懸念されている。
日常生活で見られる「お口ぽかん」のサイン
日常生活では、以下のようなサインが見られることがある:常に口が開いている、寝ているときにいびきをかく、唇が乾燥しやすい、食べ物をうまく飲み込めない、姿勢が悪いなど。これらのサインに気づいたら、早期の対策が重要だ。
「お口ぽかん」はどこに相談すべきか?
「お口ぽかん」が疑われる場合、まずは歯科医院や小児歯科、あるいは耳鼻咽喉科に相談することが推奨される。歯科医院では口腔機能の評価やトレーニングが行われ、必要に応じて耳鼻咽喉科で鼻の病気の治療が行われる。早期発見・早期対応が、子どもの健康な成長につながる。



