『科学的に認められた疲労回復大全』より「1日1万歩」は不要、5000歩でうつ病リスク3割減
1日1万歩不要、5000歩でうつ病リスク3割減 疲労回復大全

メンタル不調から回復するには、単に休息を取るだけでは不十分だ。神経を「安全モード」に切り替えることが重要で、そのための簡単な方法として歩くことが推奨されている。産業医の岩見謙太朗氏は、10万人を対象とした調査で、1日5000歩の歩行がうつ病リスクを30%低下させることを明らかにしている。

メンタル不調と休息の誤解

気分が落ち込んだとき、多くの人は十分な睡眠や気分転換で回復できると考えがちだが、実際には休んでも心が軽くならない経験をしたことがあるだろう。これは、神経の状態が原因である。アメリカの神経科学者スティーブン・ポージェス博士が1990年代に提唱した「ポリヴェーガル理論」は、自律神経の働きを細分化し、休息の質を理解する手がかりを提供する。

従来、自律神経は交感神経(戦う・逃げる)と副交感神経(休む)の2つに分類されてきたが、ポージェス博士は副交感神経をさらに2つに分けた。すなわち、「①安全モード(安心、落ち着き)」と「②凍りつきモード(無気力、思考停止、恐怖で硬直)」である。これにより、心の自律神経は「安全モード」「凍りつきモード」「戦う・逃げるモード」の3つで構成されることになる。

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本当の休息は「安全モード」のみ

この3つのモードのうち、本当に休息できているのは「安全モード」の状態だけだ。凍りつきモードでは、じっとしていても無気力や思考停止に陥っており、回復にはつながらない。つまり、休んでいるのに疲れが取れないのは、凍りつきモードにあるためである。安全モードに切り替えることで、安心や落ち着きが得られ、真の休息が可能となる。

毎日5000歩がうつ病リスクを低減

安全モードへの切り替えに効果的なのが歩行だ。岩見氏は、10万人規模の調査結果をもとに、「1日1万歩」を目指す必要はなく、毎日5000歩程度の歩行でうつ病リスクが30%低下することを示している。これは、歩くことで神経が安全モードに切り替わりやすくなるためだと考えられる。

メンタル不調を予防・回復するためには、過度な目標を掲げるよりも、無理なく続けられる5000歩を習慣にすることが重要である。産業医の観点からも、歩行は手軽で効果的な方法として推奨されている。

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