5人に1人が経験?「六月病」6月に眠れないワケ、産業医が警告する40代・50代のリスク
5人に1人が経験?「六月病」6月に眠れないワケ

新年度に頑張ったものの、6月に息切れする人は少なくない。いわゆる「六月病」と呼ばれる状態で、5人に1人が経験するとも言われる。産業医の出口さんは、新入社員よりもむしろ40代や50代のベテラン社員の方が深刻化しやすいと指摘する。

優秀な人ほど陥りやすい「六月病」のメカニズム

ある若手社員の男性は、希望の部署に配属されたにもかかわらず、次第に寝付けなくなり、まとまった睡眠が3時間の日が2週間続いた。月曜日に会社へ行くのがつらいと感じ、いわゆる“電池切れ”の状態に陥った。彼は新入社員研修で聞いた相談窓口を思い出し、出口さんに連絡した。

出口さんが確認すると、男性と上司との関係は良好で、厳しく指摘されたこともなく、部内での評価もよかった。ではなぜ追い詰められたのか。出口さんは「学生時代は自分の成果がテストの点数として見えますが、社会人は成果が見えづらい。成績が良かった人ほど、自分は期待に応えられているのか不安になりやすい」と説明する。

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男性を苦しめたのは上司からの叱責ではなく、むしろ優しさだった。上司はハラスメント研修を受けており、若手に厳しく叱責しないよう「今のままで大丈夫だよ」と声をかけていた。しかし男性は「評価されていないから具体的なフィードバックがないのでは」と深読みし、思考のループに陥った。

ベテラン社員にこそ潜むリスク

出口さんによると、40代・50代のベテラン社員は新入社員以上に「六月病」のリスクが高いという。彼らは長年の経験から責任ある立場にあり、自分の判断が組織に与える影響を強く意識する。また、若手時代とは異なり、周囲に弱みを見せにくく、相談をためらいやすい傾向がある。

具体的には、管理職やプロジェクトリーダーとしてのプレッシャー、キャリアへの焦り、体力の低下などが重なり、睡眠障害や不安症状が顕在化しやすい。出口さんは「新入社員は周囲が気にかけやすいが、ベテランは『大丈夫だろう』と見逃されがち。むしろ深刻化してから発見されるケースが多い」と警鐘を鳴らす。

早期発見と対策のポイント

男性のケースでは、出口さんが上司との面談と定期的な目標設定を勧めた。数字で評価できない仕事でも、目標を文面化するだけで安心感につながる。面談で業務だけでなく体調についても話せる関係を築くことで、不安をため込まずに済む。

医療機関への定期通院と並行してフォローを続け、男性は休職することなく回復した。3か月後には「私がいま悩んでいることは3点です」と出口さんの目を見つめてテキパキと話す本来の姿を取り戻した。早い相談が早い回復につながった例だ。

日常生活でできるセルフケア

産業医は、6月に不調を感じたら以下の対策を推奨する。まず、睡眠時間を確保するために就寝前のスマホ利用を控え、寝室の環境を整える。次に、週末に仕事のことを考える時間を区切り、趣味やリラックスする時間を意図的に作る。最後に、同僚や上司に相談しやすい雰囲気を作ることも重要だ。

「六月病」は誰にでも起こり得る。特に40代・50代は自覚症状が薄くても、周囲が変化に気づくことが早期対応の鍵となる。出口さんは「一人で抱え込まず、早めに相談窓口を利用してほしい」と締めくくった。

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