インフルエンザ2026年は異例の早さで流行入り、専門医に聞く予防対策と生活習慣
インフルエンザ異例の早さで流行入り 専門医に聞く予防策

2026年は、例年より早くインフルエンザの流行シーズンに入りました。感染を予防するためには、手洗いや換気といった基本的な対策に加え、日頃の体調管理も大切です。今回は、日本感染症学会 感染症専門医の小幡 史明先生に、感染予防のために見直したい生活習慣や、日常生活で実践できる対策について伺いました。

異例の早さで流行入り、今シーズンの特徴

今回の流行入りはかなり異例です。2026年第34週(8月17~23日)に全国の定点当たり報告数が1.11となり、流行開始の目安である1.00を超えました。感染症法施行後では、2009年に次いで2番目に早い流行入りです。最新の第35週(8月24~30日)では、定点当たり報告数が1.76、患者報告数は6,543人に増加し、47都道府県中39都道府県で前週より増えています。入院報告数も167例から213例へ増加しました。

直近5週間のウイルス検出ではAH1pdm09が多く報告されていますが、検出数は計37件とまだ限られています。そのため、現時点で「今シーズンはAH1pdm09が主流」と断定するのは慎重であるべきです。なぜ今年これほど早いのかを一つの要因だけで説明できる段階ではなく、今後の患者数や病原体サーベイランスの推移を継続して見ていく必要があります。

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睡眠・食事からワクチンまで、インフルエンザ対策で意識したいこと

睡眠不足や強い疲労、慢性的なストレスは、免疫機能に影響を与える可能性があります。実際、睡眠時間が短い人ではインフルエンザワクチン接種後の抗体反応が弱かったとする研究や、心理的ストレスが上気道感染症の発症しやすさと関連していることを示した研究があります。ただし、「睡眠不足だから必ずインフルエンザにかかる」「ストレスがあると何倍も感染しやすい」といった単純な因果関係が確立しているわけではありません。感染成立には、ウイルスへの曝露量、ワクチン接種歴、年齢、基礎疾患など、多くの要因が関係します。

健康状態や免疫機能に影響する可能性のある生活習慣として、慢性的な睡眠不足や過労、食事の偏り、喫煙などが挙げられます。また、体調不良のまま無理に出勤・通学し、人が密集する場所で長時間過ごすことは、自分が感染するだけでなく、周囲へ感染を広げる機会にもなります。生活習慣とは別に、高齢者、乳幼児、妊婦、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、免疫機能が低下している方などは、感染後に重症化しやすいため、特に注意が必要です。

まず意識したいのは、睡眠時間を確保し、疲労を翌日に持ち越さない生活です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、「何時間眠ればインフルエンザを防げる」という明確な基準があるわけではありません。日中の強い眠気が続く、休日に大幅な寝だめが必要といった状態なら、普段の睡眠が不足している可能性があります。運動も健康維持には有用で、ウォーキングなど、無理のない有酸素運動を継続するのはよいでしょう。

食生活では、特定の食品や栄養素を大量に摂るよりも、偏りなく必要な栄養を摂ることが大切です。主食、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質、野菜、果物、乳製品などを組み合わせ、食事量が不足しないようにしましょう。ビタミンC、ビタミンD、亜鉛などは免疫機能に関わりますが、サプリメントや特定の食品を摂取すれば、インフルエンザを予防できるとする十分な根拠はありません。

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流行期に徹底したい感染対策と受診の目安

今年はすでに8月から流行が始まっていますが、全員が極端に接種時期を前倒しすべきとは考えていません。インフルエンザワクチンは接種後、十分な免疫が得られるまで一般に約2週間かかり、その効果は時間の経過とともに徐々に低下します。接種可能な時期になれば、地域の流行状況や学校・職場での感染リスクを踏まえて、接種を検討してください。特に高齢者、基礎疾患のある方、妊婦など、重症化リスクが高い方は、接種機会を逃さないことが重要です。

基本となるのは、ワクチン接種に加えて、手洗い、換気、咳エチケット、状況に応じたマスク着用を組み合わせることです。特に外出後や食事前などは、石けんと流水で手を洗い、手で目・鼻・口を不用意に触らないようにしましょう。人が多く、換気の悪い場所では感染機会が増えるため、流行時や混雑した場所では、不織布マスクを適切に着用することも選択肢になります。最も重要な感染拡大防止策の一つは、発熱や咳などの症状があるときに、無理に出勤・通学しないことです。

発熱や咳が出ても、若く、基礎疾患のない方で全身状態が良く、水分が十分に取れている場合は、必ずしも直ちに救急受診が必要というわけではありません。一方、高齢者、乳幼児、妊婦、心臓・肺・腎臓の病気、糖尿病、免疫低下など、重症化リスクのある方は、早めの受診を検討してください。呼吸困難、胸痛、意識がもうろうとする、けいれん、水分が取れない、尿量が著しく減る、いったん改善した後に再び高熱や呼吸器症状が悪化するといった場合は、重症化のサインとなり得るため、速やかに医療機関を受診する必要があります。