子供たちが育てた水生昆虫「タガメ」を放流する「タガメ里親勉強会」が8月23日、埼玉県小鹿野町で開かれた。タガメは自然環境の悪化で全国的に減少し、絶滅危惧種となっている。タガメから命の大切さや自然保護について学んでもらおうと、毎年開催されている。
里親制度で幼虫を預かり飼育
タガメ里親勉強会は、小鹿野町の画家、田島昭泉さんが開催している。田島さんが育てたタガメの幼虫を希望する子供たちにあずかってもらい、成虫になるまで育てて、小鹿野町の休耕田のビオトープ(生息地域)に放流している。
今年は7月上旬に全国の10家族が田島さんから幼虫を預かり、自宅などで飼育した。約1カ月半後の8月23日、育てたタガメを持ち寄った。
飼育の難しさと魅力を発表
環境汚染に弱いタガメは水道水に含まれた塩素でも死んでしまうため、飼育する際には水質や温度、エサに非常に気を使わなければならないという。子供たちは勉強会で、タガメの飼育で工夫した点や魅力などを説明した。タガメの捕食についての研究なども発表した後、大切に育てたタガメをビオトープに放した。
タガメの飼育を成功させた宮城県多賀城市の中学1年生、遠藤颯樹さん(12)は「タガメの飼育は想像以上に難しかった。毎日心配していました。水をこまめに変えたりして、エサも気を使いました」と振り返った。タガメの脱皮を見ることができて感動したといい、「自分の手で育てたタガメを自然に帰すことができて誇らしい」と笑顔で話した。
埼玉県川口市の田中敬大さん(11)は小さいころから昆虫が好きで、初めてタガメの飼育に挑戦したといい、「タガメは昆虫の中で一番かっこいい。飼育してみて繊細な生き物だと知った。環境に対して気を付けていきたい」と話した。田中さんは、1匹を継続して育てて、越冬に挑戦するという。
生息地の減少と今後の課題
タガメはかつて日本の里山にある水田や流れの穏やかな水路などに生息していたが、水質汚濁や池沼の開発、マニアによる乱獲などで生息地が激減している。田島さんは自宅近くの川でタガメのエサとなる小魚などを捕まえていたが、昨年から今年にかけて護岸工事が行われたことで、魚が激減したという。タガメの飼育にも影響するとみられる。
田島さんは「子供たちがタガメを通じて生き物を育てることの楽しさを感じてもらったらうれしい。未来につながる」と期待した。



