玄米で認知症予防?フェルラ酸など脳に良い栄養素と健康効果を医師が解説
玄米で認知症予防?栄養素と健康効果を医師が解説

脳の老化や認知症が気になる人に注目されているのが「玄米」です。玄米には「フェルラ酸」などの栄養素が含まれ、認知機能の維持に役立つ可能性があるといいます。今回は『最新医学が教える 体細胞が20歳若返る食べ方』(宝島社)から、あしかりクリニック院長・芦刈伊世子先生監修「玄米の健康効果」について紹介します。

脳の老化を防ぐなら主食を玄米に!脳がよろこぶ栄養素が満載

玄米で認知症を防ぐ——。玄米は白米に比べて硬く、よく嚙む必要があります。よく嚙むことで消化・吸収が促されるほか、脳の血流も促されます。ゆっくり嚙めば、セロトニンが分泌され、脳の活性化につながります。

「フェルラ酸」などが認知機能を改善する!

「玄米は体にいい」。長らくそういわれてきたが、敬遠する人も少なくない。だが、認知症予防につながる機能性成分が含まれていると知ったら、食指が動くのではないだろうか。

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その成分とはフェルラ酸というポリフェノールの一種。強力な抗酸化作用によって体内で産生される過剰な活性酸素を除去し、脳細胞が酸化によって傷つけられにくくする働きがあります。あしかりクリニック院長の芦刈伊世子先生は、認知症予防やうつ病の再発防止のために、健康効果の高い成分を含む玄米を中心とした食事指導を行っています。

「フェルラ酸の効能は認知症の予防だけではありません。軽度の患者さんにおいては、症状の改善がみられたという報告もあります」(芦刈先生)

玄米の認知症予防作用

洛和会京都新薬開発支援センター所長の中村重信医師は、認知症の患者143人を対象に、フェルラ酸とガーデンアンゼリカ(ハーブ)抽出物の合剤を9カ月間服用してもらった結果、認知機能の低下が抑制されただけでなく、症状の改善がみられたと報告しています。特に65歳以上の発症例ではその傾向が顕著だったといいます。

健康食品メーカーのファンケルの研究チームは、フェルラ酸を添加した培地で神経細胞を培養する実験を行っています。その結果、脳に蓄積して神経細胞を破壊するリン酸化タウというたんぱく質が、培養された神経細胞内で最大40%低下したことが判明したといいます。

玄米がもつ4つの健康効果

健康効果を示す成分はフェルラ酸だけではありません。

「玄米に含まれる認知症予防・改善を期待できる成分は、大きく4つに分けることができます。1つめは神経機能を正常に保つ成分。2つめは脳内伝達物質を増やす成分。3つめが脳細胞の酸化を防ぐ成分。そして4つめが腸から脳に信号を送ることを促す成分です」(芦刈先生)

神経機能を正常に保つGABA(ギャバ)やイノシトールは、血流に乗った新鮮な酸素や栄養分の脳細胞への供給を促し、動脈硬化予防効果もあります。

脳内伝達物質とは、人間が精神活動を行う際に神経細胞がやりとりする生体信号を媒介する物質で、神経伝達物質とも呼ばれます。玄米には、脳内伝達物質を合成する際に使われる各種のアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類が豊富なのです。このうち、フェニルアラニン、トリプトファンなどのアミノ酸は、脳細胞の活性化にも効果が期待できます。

「脳内伝達物質が減ると、うつ病を招きやすくなります。うつ病は認知症発症リスクを高め、認知症と合併することも少なくありません。認知症の予防・改善に脳内伝達物質の合成に必要な栄養素が重要なのはこのためです」(芦刈先生)

脳細胞の酸化を防ぐ効用は前述したとおり。玄米に含まれ、活性酸素を除去する成分には、フェルラ酸のほかにフィチン酸があります。

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玄米に豊富な食物繊維もまた、腸から脳に送られる信号発信に効果を発揮します。

さらに、琉球大学医学部の益崎裕章教授の研究で、玄米に含まれるγ-オリザノールがドーパミン受容体の遺伝子発現に効き、動物実験で認知機能が改善することもわかっています。

そして、じつは白米に比べて食べにくいことも、玄米の効用なのだといいます。

「白米に比べて硬い玄米は、よく嚙んで食べなければ飲み込めません。よく咀嚼することで顎から脳にいたる血管の血流が促され、同時に有用な成分の消化・吸収につながります。また、脳内伝達物質であるセロトニンの分泌が促進されることによって、脳が活性化されるのです」(芦刈先生)

咀嚼が認知症予防・改善に効果があることは、「愛知老年学的評価研究」などの疫学調査結果からも示されています。

玄米に含まれる栄養素と脳がよろこぶ主な健康効果

  • GABA(ギャバ/γ-アミノ酪酸)・イノシトール → 神経機能を正常に保つ
  • ビタミン類:B1、B3、B6、E / ミネラル類:マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、葉酸 → 脳内伝達物質を増やす
  • アミノ酸:フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン → 脳細胞の活性化・脳内伝達物質を作る・記憶力向上に働く
  • フィチン酸・フェルラ酸 → 脳細胞の酸化を防ぐ

芦刈伊世子(あしかり いよこ):あしかりクリニック院長。医学博士。精神科専門医、認知症専門医。長崎大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神・神経科、浴風会病院などを経て、現職。うつや不眠症、認知症などの診断、治療を行うほか、「食養教室」を開設して予防にも尽力。東京都の委託事業「中野区地域連携型認知症疾患医療センター」を運営。日本綜合医学会会長。東京精神神経科診療所協会副会長。著書は『365日、玄米で認知症予防』(清流出版)など。

『最新医学が教える 体細胞が20歳若返る食べ方』(宝島社)¥1,320(2026/6/24時点) 著者:栗原毅、溝口徹、秋津壽男、牧田善二ほか