自民党の高市早苗氏が国内初の女性首相になってまもなく1年。世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数は117位だった。旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることができる皇室典範の改正に踏み切るなど、高市政権はジェンダー格差の解消に積極的には見えない。高市氏をはじめとする女性保守政治家に注目してきた岩手大の海妻径子教授(ジェンダー論)はこの1年の政権運営をどう見てきたのか。
したたかさを証明した1年
高市氏が自民党総裁となった直後のインタビューでは、高市氏を「女の時代」の矛盾を体現する政治家であり「保守とフェミニズムのハイブリッド」だと指摘した。総裁就任直後に公明党が連立政権から離脱する動きもあったが、その後は日本維新の会を引き込んだ。「だてに政界再編を生き残っていない」と海妻教授は評価する。
女性政治家は一般的に清廉さを求められることが多いが、高市氏はこれまでの政治家生活のなかで十分に政権を担うだけのしたたかさや能力を培ってきたことを証明した1年だったという。
サクセスストーリーの先にあるもの
政権発足後の高支持率は十分予想できた。保守を批判し、高市氏を支持しないリベラルな女性たちのなかにも、日本初の女性首相誕生というサクセスストーリーに沸き立つものはあっただろう。
男社会で生きる、働くということは、ある意味、男に搾取されることだ。結果を出して、ガラスの天井を破ろうと血だらけになってるのに、男性と同様には評価されない。高市首相の誕生はこれまで痛みに耐えてきたこと、ガラスの天井を破ろうともがいたことは無駄じゃないと思わせてくれた。
しかし、このサクセスストーリーは政権発足でハッピーエンド。女性首相であることで支持する層が離れる前に、決して地盤が盤石ではない自身が首相の座から降ろされないためには誰の期待に応える必要があるのか。憲法改正はすぐには難しい。



