高速道路の渋滞中やスーパーのレジで並んでいるとき、「隣のレーンに行っておけばよかった」と感じた経験は誰にでもあるだろう。しかし、これは多くの場合、心理学的な錯覚だという。『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)から、渋滞中の心理を紹介する。
隣のレーンが速く進むように感じる理由
渋滞した高速道路では、なぜか隣の車線のほうが速く進んでいるように感じる。これは、運転中に前方はしっかり見ているが、後方はあまり見ないためだ。追い抜いた車はすぐに視界から消えるので、自分が先へ進んだと感じにくい。
一方、視界に入りやすい隣のレーンの車をずっと見つめていると、その車がわずかに進んだとき、「やっぱり隣のレーンのほうが早い」と感じやすくなる。進んだ距離はせいぜい20メートル程度だが、この錯覚によってずいぶん早く進んだように感じるという。
実験が示す「隣のレーン」錯覚の実態
カナダのトロント大学のドナルド・レデルマイヤーは、自動車教習所にあるようなコンピュータ・シミュレーションを使い、道路を混雑させて運転させる実験を行った。道路1キロあたりに50台の車が集まると、同じ速度でも隣のレーンのほうが先に進むように感じることがわかった。
平均速度が遅くなってくると、70%の人が「隣のほうが進むのが早い」と感じ、65%は「車線変更する」を選ぶという。実際には道路はどちらも混んでいるため、片方だけが進むのが遅いということはなく、差があってもほんのわずかだ。
この錯覚を理解しておけば、渋滞中のイライラを軽減できるかもしれない。



