2025年10月3日、秋篠宮妃紀子さまと次女佳子さまが、高松市の国立ハンセン病療養所「大島青松園」を訪れた。皇室は長く隔離されてきた元患者に心を寄せ、上皇ご夫妻は昭和から平成にかけて全国の療養所を回ったが、唯一訪問できなかったのが大島青松園だった。取材した記者が印象深く感じたのは、皇室が寄せてきた思いを佳子さまや次世代に受け継ごうという、紀子さまの積極的な姿勢だった。
島全体が療養所、官有船で訪問
大島青松園は瀬戸内海に浮かぶ大島にあり、島全体が療養所となっている。行き来するには、約8キロ離れた高松港発着の官有船を利用するほかない。紀子さまと佳子さまは、この日午前8時半ごろに高松港から、この船で大島へ向かった。
お二人は島に到着後、亡くなった入所者をまつる納骨堂に白い花束を手向け、慰霊碑に向かって深々と頭を下げた。園では開所以来2千人以上が亡くなり、多くが差別や偏見のために故郷に戻ることができなかった。お二人はそうした歩みを園側から説明され、神妙そうな表情を崩さなかったという。
入所者と目線を合わせて懇談
その後、お二人は入所者が待つ大島会館に移り、拍手で迎えられた。入所者は四つのグループに分かれ、お二人は用意された椅子に座って懇談する想定だった。紀子さまは最初こそ座っていたが、話が進むと、立ち上がって入所者のそばへ。かがみ込み、椅子や車いすに座る入所者と目線を合わせて声をかけた。
入所者は高齢化が進み、訪問直前の10月1日時点で平均年齢は87.8歳だった。紀子さまは入所者の状態に応じて、向きあい方を変えた。
言葉が途切れがちな相手には、じっと話が終わるのを待ち、内容を確認するように復唱したり、うなずいたり。右耳が不自由なのか、相手が聞こえにくそうだと気づくと、相手の左側にさっと移動。そして、一人ひとりの手を握ると、入所者たちがうれしそうな表情を見せた。
佳子さまも続き、両手で包み込むように
佳子さまも紀子さまに続くように、椅子から離れて入所者のもとへ。お二人が左右に分かれ、同じように入所者に向き合う姿が印象に残った。佳子さまは相手の手を、自身の両手で包み込むように握った。成年式を終えた長男悠仁さまも話題になり、佳子さまは「伝えますね」と答える場面もあった。
上皇ご夫妻が果たせなかった訪問を実現し、偏見や差別にさらされたハンセン病患者への思いを次世代に引き継ぐ一歩となった。