ミサイル避難訓練、大都市7割で未実施 東京23区と政令市43自治体調査
ミサイル避難訓練、大都市7割で未実施 43自治体調査

政府と自治体が共同で実施する弾道ミサイル攻撃を想定した住民避難訓練について、人口が密集する政令指定都市と東京23区の計43自治体のうち、約7割で実施経験がないことが23日、産経新聞の取材で分かった。首相官邸や国会、官庁街が所在する都心中枢での実績はゼロで、訓練が法律上の努力義務にとどまる中、備えが不十分な実態が明らかになった。

共同訓練は平成28年度から開始

訓練では、弾道ミサイルの飛来を想定し、全国瞬時警報システム(Jアラート)が作動した際に住民が緊急一時避難施設(シェルター)へ入る手順を確認する。実施先の市区町村が消防庁や内閣官房の担当部局とともに訓練メニューを組み立てる。

内閣官房によると、国と自治体の共同訓練は、北朝鮮のミサイルへの脅威の高まりなどを背景に平成28年度に開始した。有事となれば軍事施設や都市部は攻撃を受けるリスクが高いとされる。

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29自治体で実施経験なし

産経新聞の取材で、平成28年度~令和7年度に計147件の共同訓練が実施されたが、東京23区と政令市計43自治体のうち、約7割に当たる29自治体では実施経験がなかった。このうち、千葉市、北九州市、東京都荒川区と台東区などは自治体単独で過去に実施したが、東京都千代田区は共同、単独いずれの訓練経験もなかった。

政府は3月末に、シェルター確保に向けた初の基本方針を決定した。地下街や地下駐車場といった既存施設のシェルター指定を促進させることが柱だ。シェルターは国民保護法に基づき指定され、同法は避難計画の策定や警報の発令、避難指示などを行政側に義務づけるが、訓練の実施は法的拘束力のない努力義務にとどまり、参加も任意とされている。

今後の課題と民間防衛の重要性

有事において国民の生命と財産を保護するためには、自衛隊による軍事的な対処のみならず、一般市民や自治体などが主体となる非軍事的な「民間防衛」の枠組みが不可欠だ。

今後の課題について、元東京都危機管理監で陸上自衛隊北部方面総監などを歴任した田辺揮司良(きしろう)氏は「訓練の目的は個人や組織の対応能力の向上であるため、現段階では義務化は難しい。まずは国主導の訓練の強化に加え、各自治体が自主的に取り組める環境の整備が急務だ」と指摘。主に都市部では、シェルターの場所を分かりやすく周知し、施設側の協力も得た上で「(海外の例を参考にしつつ)一斉に10分程度、広く国民が参加する実践的な訓練の導入が望まれる」と訴えている。

国民保護法は、他国から日本が武力攻撃などを受けた際、国民の生命や財産を守るために国や地方自治体の責務や手続きを定めた法律で、平成16年に施行された。「武力攻撃事態」の類型として①着上陸侵攻②弾道ミサイル攻撃③ゲリラ・特殊部隊による攻撃④航空攻撃―を想定。北朝鮮のミサイル発射が相次いだことなどを踏まえ、平成28年度から、国と自治体は②の事態を想定した共同訓練を実施している。

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