日本銀行は6月16日に開かれた金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1%へと引き上げた。これは1995年9月以来、ほぼ31年ぶりの水準である。2024年3月に日銀は、それまで続けてきたマイナス金利政策という異例の金融緩和策をやめ、利上げを開始。以降、4回の利上げを半年に1回程度の頻度で実施してきた。
中東情勢緊迫化が利上げの背景
今回の会合では、2月末以降の中東情勢緊迫化と原油価格高騰に日銀がどう対応するかが注目を集めていた。原油価格高騰は物価上昇率を高める。中央銀行は一般に金融引き締めで物価安定を確保しようとするが、景気過熱で物価上昇率が上振れているときはこの政策は有効だ。
供給ショックへの対応が課題
しかし、原油価格高騰のように外部からもたらされる供給ショックの場合は対応が難しい。こうした要因は一方で景気を悪化させる可能性もある。過去数年にわたる物価高も、足元の原油価格高騰と同様に円安という供給ショックの影響が大きく、利上げのみでの抑制は容易ではない。
多くの中央銀行は、物価と経済双方の安定を使命としている。原油価格高騰による物価上昇率の上振れと景気の下振れのどちらが大きくなるかを見極める必要がある。そのため、供給ショックに対して中央銀行はしばらく様子見するのが定石だ。
執行部と審議委員のせめぎ合い
日銀の9人の政策委員のうち、総裁や副総裁らの執行部は慎重姿勢を示していたが、審議委員が異例の利上げを主導した。この背景には、中東情勢の緊迫化による原油価格高騰が物価に与える影響を懸念する声が強まったことがある。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏は「供給ショックには利上げだけでは難しい。日銀金融政策の限界が露呈した」と指摘する。
今回の利上げ決定は、物価安定と景気への影響を巡り、日銀内部で激しい議論が交わされた結果とみられる。今後の金融政策の行方について、市場関係者はさらなる利上げの可能性と景気減速リスクをにらみながら、慎重に見守る構えだ。



