終戦81年、各紙社説で安全保障の論戦 産経は抑止力強化訴え、朝日は外交努力を強調
終戦81年、各紙社説で安保論戦 産経は抑止力、朝日は外交

終戦から81回目の8月15日を迎え、全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で営まれた。各紙は社説で、先の大戦の教訓と、揺らぐ戦後の国際秩序への対応を巡り、対照的な見解を示した。

産経と読売、抑止力と防衛力の強化を主張

産経は、厳しい安全保障環境を踏まえ、「平和を保つには抑止力を向上させ、同盟・同志国と連携を強めるしかない」と訴えた。その上で、冷戦期の緊張の主正面は東西ドイツ国境だったが、「今は台湾海峡や東シナ海に移った。日本有事に直結する台湾有事の恐れは消えない」との認識を示した。

さらに産経は、「憲法前文が言う『平和を愛する諸国民の公正と信義』は見当たらず、平和を希求する日本は抑止力と対処力を向上させ、同盟・同志国と連携を強めるしかない」と説いた。「抑止力の効果は相手の国が日本をどうみるかでも変わってくる。だから国民が国を守る気概、尚武の気風を示すことは欠かせない」とし、英霊への感謝と顕彰の必要性を強調した。

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読売は、「長く秩序の守り手だった米国までもが、『力による支配』に走るようになった。中国、ロシアを含めて大国が国際法を軽視している状況は危険極まりない」と指摘。「法の支配や自由貿易の恩恵を受けてきた日本が主導し、国連を立て直す必要がある」としつつ、「中露朝の3か国が足並みを揃えて日本への圧力を強めている現状は、かつてないほどの脅威だ。国民の生命、財産を守るためには防衛力の強化が欠かせない」と強調した。

朝日と毎日、防衛力増強への懸念を表明

これに対し朝日は、「防衛力重視の声が強まる状況は、外交上の努力を怠っていることの裏返しであることが多い。81年前の敗戦は、外交力を発揮できず、軍を抑えられなかった結果」との見方を示した。その上で、「問題は他国から攻撃されないようにすることだけではない。他国が攻撃を受けると思わないよう周到に配慮し、行動する。追求すべき平和が、そこにあるはずだ」と論じた。

毎日は、「世界は岐路に立っている。軍備増強を競い、不信の連鎖が紛争のリスクを高めている」と指摘。「状況に流されるばかりでは、周辺国との相互不信が増幅する」との見解を示し、他の方策を考える必要があるとして、「丁寧な議論で合意を形成する民主主義の実践が試される」と記した。

靖国参拝を巡り各紙が対立

靖国神社への対応について、産経は高市早苗首相や閣僚に参拝を求め、「これは日本と英霊の約束であるのと同時に、日本を守る確かな意思を示すもので抑止力を高める。英霊が願った独立と平和に資する道なのだ」と訴えた。15日には小泉進次郎防衛相ら4閣僚や鈴木俊一幹事長を含む自民党幹部らが参拝した。

一方朝日は、「国家神道の中心的な施設として、軍国主義と結びつき、国民を戦争に駆り立てた」「A級戦犯14人が合祀されてもいる」として、「閣僚ら政治指導者の参拝は、戦前の歴史を正当化しようとしていると受け取られても仕方あるまい」と難じた。毎日も「旧軍との関係が深い靖国を参拝することは戦争への反省を欠いていると受け取られかねない。外交にも大きな影響」と批判した。

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東京は「戦争をしない、させないという『不戦の誓い』が近ごろ揺らいでいないか、国際情勢が厳しいという『現実』を言い訳に、平和国家の理念を軽んじてはいまいか」と懸念を示した。日経は「情報力、インテリジェンスの力が不足し、対米開戦に追い込まれた」との見方を紹介し、「対外情報は戦争を避ける力も持ちうると考えれば、専守防衛を旨とする我が国こそ重視すべきであろう」「民主主義社会にふさわしい情報機関のあり方をしっかり議論するときではないか」と主張した。

社説は最後に、「平和を唱えるだけでは平和を保つことはできない」とし、軍人・民間人合わせて310万人の同胞を失ったことを胸に刻み、英霊が願った独立と平和を守るため、抑止力・対処力を確かなものにしなければならないと結んだ。