沖縄県知事選(9月13日投開票)まで2ヶ月を切り、現職で3選を目指す玉城デニー氏(66)と、自民党が全面支援する新人で前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)の事実上の一騎打ちが固まりつつある。両陣営とも政党色を前面に出さない「県民党」戦略に腐心しており、13日には元郵政改革相の下地幹郎氏(64)も立候補を表明。国の安全保障政策にも影響する重要選挙が熱を帯びている。
玉城陣営、オール沖縄色を薄め幅広い支持を模索
那覇市内で6月に行われた玉城氏の事務所開きでは、新たに設立された主婦や若者らで構成する政治団体「県民と歩む会」のメンバーが奮起を促した。オール沖縄勢力の議員も参加したが登壇せず、のぼりやチラシにも「オール沖縄」の文字はなかった。
オール沖縄勢力は近年、革新色が強まり保守的な企業グループが離脱。2月の衆院選では全4小選挙区で自民に敗北し、退潮傾向が顕著だ。玉城氏は「オール沖縄より幅広い支持を得られる態勢にしたい」と政党推薦を受けない姿勢を打ち出した。今月5日に名護市で開いた集会でも、同勢力の旗印である米軍普天間飛行場の辺野古移設反対に言及しなかった。
辺野古移設を巡っては、県が国との法廷闘争に敗れ、2024年1月に工事が再開。今年3月には辺野古沖で移設反対派の市民団体が運航する船が転覆し、女子高校生ら2人が死亡する事故が発生した。玉城陣営の選対関係者は「移設工事が進み、県民の間には諦め感がある上、ネット上では転覆事故とオール沖縄を結びつけ玉城氏を糾弾する投稿が大量に流布している」と警戒する。別の陣営幹部は「かつてない逆風。一番厳しい選挙になる」と危機感をあらわにする。
古謝陣営、経済界主導で自民色を隠し公明推薦へ
古謝氏は11日、名護市での事務所開きで「市、国、県が一致団結し、停滞の県政から前進の県政へ」と訴え、辺野古移設容認の考えを改めて示した。多数の自民県連幹部が駆けつけた大規模集会でも、マイクを握るのは企業関係者らだ。
古謝氏を擁立したのは経済界を中心とした選考委員会で、支持母体となる政治団体や陣営幹部も企業関係者で固めている。自民関係者は「過去の知事選のように自民を前面に出さず、県民党を標榜できるように経済界主導を印象づけ、幅広い支援を獲得するのが得策だ」と狙いを語る。
背景には、沖縄の知事選や参院選といった全県選挙で勝利が遠ざかっている反省がある。自民県連幹部は「ウィングを広げた戦い方が必要だ」と話す。陣営は、自民との連立政権を解消した公明党の県本部に推薦を依頼。公明は県内の地方議会で自民と連携し、知事選同日に選挙がある自治体も多いことから、県本部が推薦を出す方向で最終調整に入っている。
自民県連内には「票をまとめるために、高市首相の沖縄入りはできれば避けたい」との声もある。理由の一つは公明への配慮だ。公明関係者は「高市首相の政策や政権運営に反発する支持者は少なくない。沖縄入りすれば、古謝氏の支援から離れる支持者も一定数いるだろう」と話す。
陣営から推薦依頼を受けた参政党、国民民主党、日本維新の会も推薦する方針だ。さらに県内全11市のうち10市長や多くの町村長が古謝氏の支援を表明。陣営幹部は「支援態勢づくりは順調で反応も悪くないが、知名度は圧倒的に相手に劣る。地方議員と連動して課題を解消しながら支援の輪を広げるしかない」と語る。
下地幹郎氏が立候補表明、三つ巴の様相
13日、下地幹郎氏が那覇市内で記者会見し、無所属で立候補する意向を表明した。下地氏の知事選出馬は3回目で、直近の2022年は約5万3000票を獲得。会見で「お互いの足を引っ張る保守と革新の政治に終わりを」と述べ、沖縄本島南北を通る鉄軌道の導入や子どものバス・モノレール料金無償化などを主張。辺野古移設工事については「時間がかかりすぎる」として「認めない」とした。
下地氏は宮古島市出身。自民党や国民新党、日本維新の会を渡り歩き、衆院議員を6期務めた。民主党の野田政権では郵政改革相を担当した。
一方、立候補を表明していた政治団体代表・木下隆政氏(69)は「支持の広がりが間に合わない」として出馬を取り下げる意向を示した。



