事故直前の電話
地震発生直後の7月28日午後4時半頃、妻から電話があった。「そっちは大丈夫?」「大丈夫」――。中学1年の長男(13)の安否や家の状況など、3分ほど簡単な会話をして電話を切った。その後、爆発事故が発生し、再び電話をかけてもつながらなかった。
現場に通い続けた日々
男性は毎日現場に通い、「救出」の連絡を待った。食べ物はのどを通らず、睡眠もままならなかった。警察署に呼び出され、事故から3日後、霊安室で妻と再会した。全身に残された痛々しい傷に、こらえていた涙があふれた。
妻は2階にあるアパレル店で店長を務めていた。「妻は責任感の強い女性。営業再開などを見越し、片付けに戻ったのかも。どうして電話で『戻るな』と声をかけなかったのか」という思いがこみ上げた。
妻の最期と結婚の思い出
妻は施設のバックヤードの出口付近で見つかった。落下物の下敷きになったとみられ、警察からは「苦しむ時間は短かったと思います」と説明を受けたという。
妻とは中学からの知り合いで約15年前に結婚したが、タイミングが合わず結婚式を挙げていない。「いつかウェディングドレスを着て写真を撮ろうね」と話し合っていた。妻は食べるのが好きで、料理人経験のある男性のパスタや卵焼きを食べては味などを指摘した。「おいしそうに食べても、なかなか100点はくれなかった。妻をうならせるのが夢だった」
葬儀への思い
3日に営む葬儀には、妻の夢だったドレスを式場に飾り、妻が「100点」と絶賛していたおにぎり店の卵焼きをひつぎに添えようと思っている。「10秒爆発が遅ければ……。息子と一緒に、これからも妻との夢を一つずつかなえていってあげたい」と空を見上げた。



