人口減や担い手不足で姿を消した盆踊りを復活させる動きが、県内各地で起きている。若者に人気のポップソングを流したり、冷房が利いた室内で開催したりと、“現代化”という新たな試みも多くみられる。専門家は「みんなでつながりを感じる『フェス』のような意味合いが加わってきたようだ。地域のにぎわいを取り戻す鍵になるかもしれない」と分析する。
32年ぶりの復活、各地で盆踊りが再開
13日、北茨城市大津町北町の公園に太鼓や笛の音、「ソーレ」のかけ声が響いた。多くの親子連れがやぐらを囲み、盆踊りを楽しんだ。地域では子どもが減り、盆踊り大会を主催してきた子ども会の活動が止まり、1994年を最後に途絶え、32年ぶりの復活となった。
新盆に念仏踊りをする地元の伝統行事「じゃんがら」のメンバーが、「町おこしのために復活させよう」と立ち上がった。メンバーを率いた関根拓紀さん(36)は「予想以上に多くの人が来てくれた」と笑う。
15日には、大子町の依上地区で26年ぶりに盆踊りが行われた。95年に戦後50年の戦没者慰霊行事として始まったが、担い手の若者が減り、2000年頃から行われなくなった。実行委員会の吉成英男さん(65)は「特にコロナ禍以降に失われた地域のにぎわいを取り戻したかった。盆踊りを機に、地元に帰ってきた人もいた」と喜ぶ。
常陸太田市でも今夏、8年ぶりの盆踊り開催を目指して、市民が踊りを練習した。台風で中止になったが、市観光物産協会の担当者は「参加者は、伝統を次世代に伝えようと意気込んでいた」と語る。
ジャズやアニソンも、新しい盆踊りの形
時代に合わせた変化もある。昨年、17年ぶりに再開した水戸市の盆踊り大会は23日、今年も盛大に行われた。猛暑を考慮して、市のアリーナ施設にやぐらを組み、空調の利いた環境で実施。多世代が楽しめる曲「ジャンボリミッキー!」を使い、創作・現代バージョンの盆踊りも披露された。
盆踊りは近年、海外でも「Bon Dance」としてブームとなっている。かつては日系移民が中心だったが、現在は国籍や文化を超えて楽しまれている。国内でも、米国のロックバンド「ボン・ジョヴィ」の楽曲を使う「盆ジョヴィ」をはじめ、ジャズやアニメソングを使った盆踊りイベントが人気という。
日本大芸術学部の小林直弥教授(舞踊学)は、県内では外国人や移住者が増え、地域コミュニティーが希薄になった可能性を指摘。「国籍や年齢に関係なく、人とのつながりを感じられる場として盆踊りが機能している。誰もが孤独を感じやすい時代に、アナログなコミュニケーションでつながる盆踊りは地域にとって大事な場になっている」と語る。



