長かった国会の会期末も、会期延長がなければ17日に迫っている。高市早苗首相による衆院解散で、史上最多の議席を得た自民党。他の政党が消長を繰り返すなか、なぜ命脈を保ち続けるのか。結党から70年を超え、一党優位の状況に死角はないのか。日本現代史の政治学者で、青山学院大学教授の小宮京さんに聞いた。
70年に及ぶ一党優位の謎
――自民党は結党70年を迎えた。歴史的な評価をどう見ているか。
自民党、社会党の2大政党による55年体制。東西冷戦が終わると、社会党は歴史的な使命を終えたといって去っていった。自民党も同じように去っていってもおかしくなかったのに、いまだに存在している。細川・羽田連立政権、民主党政権の約4年間をのぞいて、ほぼ60年以上一貫して日本の政権を担ってきた。党名を変えず、ずっと続いてきた。世界的に見ても非常に稀有で、不思議な政党だ。
――時代の変化に対応してきたということか。
自民党は融通無碍(ゆうずうむげ)の姿勢で、時代の変化に柔軟に対応してきた。例えば、かつては社会党との対決姿勢を強めた時期もあったが、その後は連立政権を組み、政策も大きく転換してきた。この柔軟性が長期政権を可能にした要因の一つだ。
権力への執着が党を結束させる
――なぜ自民党は分裂せずにまとまってこられたのか。
権力への執着が強いからだ。自民党議員は、政権を維持するためなら政策の変更もいとわない。この執着が党の結束を生み、結果として一党優位を支えてきた。また、党の派閥も権力闘争の場でありながら、全体としての結束を強化する役割を果たしてきた。
小宮氏は「自民党は権力の座に居続けることに貪欲で、そのために柔軟に変化してきた」と指摘する。
野党の弱体化と自民党の強さ
――野党が弱体化していることも一因か。
確かに、野党の弱体化も自民党の長期政権を支える要因だ。社会党の衰退後、民主党が政権を取ったが、わずか3年余りで退陣した。その後、野党は分裂を繰り返し、統一した対抗勢力を形成できていない。現在の中道改革連合も、自民党に対抗するには至っていない。
小宮氏は「野党がバラバラでは巨大与党に対抗できない。野党に必要なのは、政策の一致と結束だ」と述べている。
自民党の死角はあるのか
――一党優位の状況に死角はないのか。
自民党にも課題はある。党内の多様性が失われ、異論が出にくい体質になっている。また、国会と党内の分断も進んでいる。これらの問題が表面化すれば、自民党の強さにも影響が出る可能性がある。
小宮氏は「自民党が70年にわたり支持された逆説的な理由は、常に変化し続けてきたことだ。しかし、その変化が止まれば、支持も失うだろう」と警告する。
今後の展望
自民党は今後も政権を維持し続けるのか。小宮氏は「短期的には難しいが、長期的には野党の再編や社会の変化によって、自民党の優位が揺らぐ可能性もある」と分析する。
高市政権の下で、自民党は史上最多議席を獲得したが、その強さの裏には柔軟性と権力への執着がある。しかし、その強さが逆に党内の硬直化を招く恐れもある。今後の自民党の動向が注目される。



