淡いブルーやピンクなど彩り豊かなガラスの器。花びらさながらの皿などデザインも多岐にわたる。東京の下町に息づく伝統工芸「江戸硝子」は今も進化を続けている。涼しげなたたずまいからは、手作りならではのぬくもりも感じられる。
江戸の景色と人々の情緒を再現
グラデーションが特徴的な「えどふぇありー」のそうめん鉢やカップなどは、光に当たると幻想的な雰囲気が増す。江戸硝子は、江戸時代からの製法を受け継ぐ東京や千葉の窯元による手作りのガラス製品に許された呼称で、2014年には国の伝統的工芸品に指定された。
「えどふぇありー」シリーズは、ガラス製品の企画販売などを手がける東京都江東区の「富硝子」が窯元の一つと協力して生み出した食器類。華やかな江戸文化から連想し、カップやそうめん鉢などの表面を透明感のある淡い赤、青、黄色などで彩った。デザインを担当した同社の岡南杏奈さん(38)は「華々しい江戸の景色と人々の情緒の再現に挑んでみました」と話す。
匠の技が光る遠心力成形
どれも熟練の職人たちが溶かしたガラスを高速で回転する型に流し込み、色粉をまぶしながら遠心力で形を整えたもので、匠の技が光る。2023年の発売以来、贈答品として人気を博し、「夏の食卓に涼感を届けてくれます」と岡南さん。和食はもちろん、サラダの盛りつけなどにも向いている。
「うきよ」シリーズも風情あふれる
同社の食器では、紫やピンクなどの色粒をちりばめたり、藍色や水色などを織り交ぜたりして江戸の景色や江戸っ子の粋を現代風に表現した「うきよ」も風情にあふれる。定番のカップや皿のほか、しょうゆ差しや片口など種類も豊富だ。表面の模様にとどまらず、花びらを模した取り皿、ワサビや塩など薬味も載せられる小さな花に似た箸置きなど形にもこだわり、繊細な美意識を感じさせる。
課題は職人の高齢化と減少
高い技術力が求められるだけに、安価な海外製品が出回る中、職人の高齢化に伴う減少が課題だ。岡南さんは「多くの人に江戸硝子の魅力を知ってもらうため、これからもワクワクさせられる商品を世に送り出したい」と話している。
アクセサリー展開で無駄を減らす
富硝子は食器類だけでなく、ネックレスやピアス、指輪などの江戸硝子のアクセサリーも展開している。手作りのため、時に形が崩れたり、気泡が入りすぎたりし、販売できない製品も生まれる。こうした製品を無駄にせず、問題ない部分をカットして磨きあげることで宝飾品としてよみがえるという。素材がガラスだけに腐食などに強く、時折光を反射して輝くさまが美しい。岡南さんは「伝統工芸を気軽に身につけて楽しんでほしい」と話す。



