日本の美容産業「J-Beauty」戦略:技術力世界一でも儲からない理由と国家支援の全貌
J-Beauty戦略:技術力世界一でも儲からない理由

日本の美容産業は、研究開発や技術力において世界最高水準を誇る。しかし、中国や韓国のメーカーに押され気味であり、国際競争で埋もれかねない状況にある。この危機感から、政府は「J-Beauty」戦略を打ち出し、10兆円規模の美容産業を国策で牽引しようとしている。

技術力は世界一、なぜ儲からないのか

IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)の受賞数は、1970年以降ずっと世界1位を維持している。ネイル産業でも民間が技能認定資格制度を作り、技術を向上させてきた。しかし、日本では各業界の自助努力に依存していたため、世界市場において大々的なブランド発信や緻密な戦略が不十分で、優位性を十分に発揮できていない。

一方、韓国は化粧品輸出額が1.8兆円に達し、美容大国となった。そのきっかけは2012年の化粧品法改正であり、OEM・ODM企業が中核を形成し、韓流ドラマやK-POPの世界的ヒットとともに、SNSやECを通じたデジタルマーケット展開が相乗効果を生んだ。韓国政府は昨年11月に「K-Beauty輸出成果拡大策」を発表し、国家的な支援を決定している。

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国家戦略としてのJ-Beauty

こうした国際環境の変化に対応するため、政府は業界横断的な組織を作り、国が支援する仕組みを構築する必要があると判断した。金子容三内閣府大臣政務官が事務局長に就任し、昨年「一般社団法人J-Beauty海外展開推進協会」の顧問に就任。今年5月には政府に提言文書を提出した。

提言では、まず国際環境の変化を認識する必要性が指摘されている。美容産業を国家戦略として位置づけた中国や韓国の伸びは著しく、積極的に海外展開を行っている。日本の高い品質や技術力を持ちながら、国際競争で埋もれかねないという危機感が背景にある。

具体的な課題:薬機法の規制

具体的な課題の一つは、法律的な規制である。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)では、化粧品販売において数値や体験談を用いた広告が禁止されている。効能表現も56種類に限定され、商品の優位性がよく伝わらないことがある。

一方、中国や韓国の化粧品をネットで販売する場合、そのような制約をかいくぐることができる。薬機法では違法な販売の取り締まりは都道府県が担うことになっているが、都道府県には強い執行力がない。このため、国が出ていく必要があると指摘されている。

輸出戦略の成功例:農水産物

政府はこれまでも輸出戦略を策定し、成果を上げてきた。例えば、農水産物では輸出相手国や輸出品目別に輸出戦略を作り、課題を整理。2014年には6117億円だった輸出額が、2025年には1.7兆円を超えるまでに成長した。この成功モデルを美容産業にも応用しようとしている。

J-Beauty戦略では、業界横断的な組織を結成し、国と連携して世界に発信する。具体的には、輸出戦略の策定、規制緩和の推進、海外見本市への出展支援、デジタルマーケティングの強化などが検討されている。

今後の展望

日本の美容産業が世界市場で競争力を取り戻すには、技術力だけでなく、ブランド発信力や戦略的な販売網の構築が不可欠だ。政府の支援と業界の協力により、J-Beautyが国際ブランドとして確立されることが期待される。

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