地域の未来を担う人材を育成する金沢大学の社会人向けプログラム「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」で講義が始まった。フィールドワークでは能登の自然に触れ、参加者が自らのテーマに沿った研究への手がかりを探っている。
プログラムの概要
プログラムは「実践探求型」と「知識習得型」のコースに分かれる。実践探求型は、自然を生かした持続可能な地域のあり方などを考える「世界農業遺産・能登の里山里海コース」と、災害からの創造的復興や経済面における地域づくりについて実践する「復興・地域づくりコース」がある。
第1回講義
6月20日に行われた第1回講義は「能登の里山里海」について考えることから始まった。国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットの研究員が、能登の里山里海が2011年に世界農業遺産に認定され、景観や祭礼文化など未来に向けた価値の継承に取り組んでいることを説明。「里山里海と、新技術や地域のつながりを掛け合わせ、能登らしい復興を考えていくことが重要」と述べた。
続いて、同ユニット客員研究員が、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方も里山里海との関わりが深い点に言及した。環境省が整備し、太平洋沿岸の東北4県を結ぶ1000キロ・メートルほどの長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」は、沿線の住民らが国内外から訪れるハイカーを迎え入れ、豊かな自然の魅力と震災の教訓を伝えていることを紹介した。能登でも、遊歩道を活用した「のとSDGsトレイル(仮称)」の構想が進んでいるという。
現地実習
7月からは現地実習がスタートした。能登地方以外からの参加者も多いことから、現地の生活に触れてもらうことが狙いだ。初回の4日は金沢大能登学舎がある珠洲市三崎町小泊を散策。漁業や養蜂を行う地元住民の話を聞いたり、梅の実を摘み取ったりした。2週間後の18日には、NPO法人「能登半島おらっちゃの里山里海」(珠洲市)が管理する林で、シイタケのほだ木に触れた。
記者も参加
プログラムには記者(23)も参加している。自分がどのようなことを学びたいのか、グループワークを通して改めて考えてみた。初回の講義の終盤、A3の白い紙に講座で成し遂げてみたいことを書き出す時間があった。そこに記したのは「地域の人と同じ目線で課題を共有する」「能登の里山里海を形として捉え、継承策を探る」「能登への愛を可視化する」の3点。他の参加者が気づいた点を付箋に記入し、余白に貼ってくれた。探求への足がかりとなった気がした。
珠洲市に赴任して3か月。祭りや地域のイベントに参加すると、顔見知りも増えてきた。ここに住む人たちは能登の魅力をどう感じ、郷土愛を深めているのか、探っていきたい。(珠洲通信部 荒牧尚志)



