6月に入り、寝つきが悪くなったり、仕事へのモチベーションが低下したりする経験をしたことはないだろうか。それは「六月病」のサインかもしれない。企業の産業保健師によると、意外にも危ないのは新入社員ではなく、むしろ40代や50代の中堅・ベテラン社員だという。
マイナビが2026年5月に20~59歳の正社員1万8000人を対象に行った調査では、正社員の19.8%、つまり約5人に1人が「六月病の状態を感じたことがある」と回答した。五月病はよく知られているが、六月病はあまり聞き慣れない。自由記述回答には、「4月から頑張り続けた緊張感が薄れ、2カ月蓄積した疲労がどっと出た」(20代男性)、「新年度に新メンバーとなり、気を遣っていたが、6月あたりでみんなの素が出てきて、嫌なところが見えてきた」(20代女性)、「新人に指導している。疲労回復に時間がかかる」(30代女性)などの声が寄せられている。
六月病とは何か
企業の産業保健師として社員の健康相談に乗る出口春花さん(産業医・保健師クラウドのAvenir所属)は、「六月病は医学用語ではありませんが、6月に疲れや意欲低下を訴える人は多いものです」と話す。新年度の環境変化に対応したものの、不眠、疲労感、集中力低下、食欲不振、趣味を楽しめなくなるといった症状を5~6月に訴える人は少なくないという。
特に注意が必要なのは、ケアからこぼれ落ちた人たちだ。新入社員は研修や配置部署でのサポートが手厚い一方、中堅・ベテラン社員は周囲から「慣れているはず」と見なされ、ケアが行き届かない傾向がある。出口さんは「40代、50代の六月病は、新入社員より深刻化しやすい」と指摘する。
希望部署でも眠れない理由
「希望部署に配属されたのに眠れない」というケースもある。出口さんによると、優秀な人ほど陥りやすいという。理由は、期待に応えようと過剰に頑張り、緊張状態が続くためだ。また、新しい環境に適応する過程で、無意識のうちにストレスをため込んでいることも多い。
さらに、6月は気候の変化も影響する。梅雨入りによる気圧の変動や日照時間の減少が、自律神経のバランスを崩しやすくする。これが不眠や疲労感を増幅させる要因となる。
40代・50代の六月病の原因
40代、50代の六月病の原因は、新入社員とは異なる。出口さんは「中堅・ベテラン社員は、業務の責任が重くなり、後輩の指導や管理業務も加わる。4月からの新しい体制で役割が増え、その疲れが6月に表面化する」と説明する。また、家庭でも子育てや介護の負担を抱える世代であり、仕事と家庭の両立によるストレスが積み重なりやすい。
調査結果からも、年代別の傾向が浮き彫りになる。20代は新生活への期待と不安、30代はキャリア形成のプレッシャー、40代以上は管理職としての責任や将来への焦りが六月病の引き金となり得る。特に40代、50代は、自分の健康問題にも直面し始める時期であり、疲労回復に時間がかかるという声も多い。
対策として、出口さんは「自分の体調の変化に気づくこと」が重要だと強調する。具体的には、睡眠時間の確保、適度な運動、趣味の時間を持つこと、そして職場で相談できる人を作ることが有効だ。また、企業側には、全社員を対象としたストレスチェックや、管理職向けのメンタルヘルス研修の充実が求められる。



