政府は独占禁止法改正案を今国会に提出する方針を固めた。デジタル市場の競争促進や課徴金制度の見直しが柱で、企業結合審査の迅速化も盛り込む。公正取引委員会の権限強化が焦点となる。
デジタル市場の競争促進
改正案では、巨大プラットフォーマーによる独占的行為を規制する新たな規定を設ける。具体的には、優越的地位の濫用に該当する行為の類型を明確化し、課徴金の算定方法も見直す。また、企業結合審査においては、データや技術の保有状況を考慮する基準を導入する。
政府関係者によると、デジタル市場の特性を踏まえた規制強化が必要との認識で一致している。特に、GAFAなどの巨大IT企業が市場支配力を行使するケースが増えていることから、迅速な対応が求められている。
課徴金制度の見直し
課徴金制度については、算定率の引き上げや、不当な取引制限の抑止効果を高めるための見直しが行われる。また、企業が自主的に違反行為を申告した場合の減免制度(リーニエンシー制度)の適用範囲を拡大する方向だ。
公正取引委員会の幹部は「課徴金の水準を国際的に見ても遜色ないものにすることで、抑止力を強化したい」と述べている。現在の課徴金算定率は、カルテルで売上高の10%、不当な取引制限で6%などとなっているが、引き上げが検討されている。
企業結合審査の迅速化
企業結合審査については、審査期間の短縮を図るため、事前相談制度の充実や、簡易審査の対象範囲の拡大が盛り込まれる。また、スタートアップ企業の買収など、新たな市場の創出につながる案件については、審査の透明性を高める方針だ。
経済産業省の担当者は「企業結合審査の迅速化は、ビジネスの機会損失を防ぐ上で重要だ」と指摘する。一方、公正取引委員会は「競争政策の観点から、一定の審査は必要」として、バランスの取れた制度設計を目指す。
今後のスケジュール
政府は今国会での成立を目指し、与党内での調整を加速させる。野党側は、審議の充実を求めている。改正案が成立すれば、独占禁止法の大幅な改正は約10年ぶりとなる。
専門家からは「デジタル市場の進展に合わせた規制強化は評価できるが、企業活動への影響も考慮すべきだ」との声が上がっている。今後の国会論議が注目される。



