「東大推薦で合格した神童」20歳、限界集落で見つけた日本が抱える問題
東大推薦の神童20歳、限界集落で日本問題と向き合う

「東大推薦の枠があるから、受けてみたらどうか」――先生たちの作戦は、一般入試で東大を勧めても京大を譲らなかった下村さんを、推薦で東大に導くことだった。当時、京大はA判定。彼自身は「せっかくやし、やってみるか」と軽いノリで応じた。

「日本一面白い受験生」になる

下村さんは「勉強で日本一になるのは無理だから、日本一面白い受験生になろう」という奇妙な目標を掲げていた。通常、東大推薦は論文実績や数学オリンピックなどの華々しい実績が必要だが、彼にはそうしたアピールポイントはなかった。しかし、自分の町を旅行してきた3年間の蓄積、地域と経済の話を自分の言葉で語れる語彙の分厚さが訴求ポイントとなり、東京大学経済学部に推薦合格した。

人口31人の集落に見いだした“価値”

東大入学後、下村さんは大学のプログラムを通じて地方自治体と連携し、地域課題解決に取り組む組織に参加。限界集落で作った日本酒を売る仕事に携わった。プログラム終了後も地域との関わりを断ちたくなく、住民らで作る現地法人「NPO法人チーム道行竈」に加入。現在も活動を続けている。

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道行竈は、三重県南伊勢町にある平家の落人の子孫が暮らす人口31人の農村集落だ。奈良県で「自分の町を旅行してみよう」と考えた高校生は、今や三重の限界集落を「もう一つの地元」として通っている。

差別化の源泉は限界集落そのもの

道行竈では、「神の穂」を使用した日本酒づくりが行われている。台風が来る土地柄、稲刈りは9月では遅く、8月の米を使う必要がある。仕上がりはフルーティで美味しいが、それだけでは他の日本酒と差別化できない。差別化の源泉になったのは、限界集落であるということそのものだった。

「現地の人にとっては当たり前のことでも、外から見れば価値があるものがある。だが、現地の人はそれに気づいていないことも多い」と下村さんは語る。ニュースを面白がる小学生の視点は、20歳になっても健在だ。

東大の文化祭でも販売

下村さんは、東大の文化祭でも道行竈の日本酒を販売し、多くの人に限界集落の魅力を伝えている。彼は「日本が抱えることになる問題」と向き合う決意を固め、地域活性化に取り組んでいる。

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