技術力は世界一なのに儲からない? J-Beauty戦略で10兆円美容産業を国策牽引
J-Beauty戦略で10兆円美容産業を国策牽引

日本の美容産業が新たな局面を迎えている。化粧品、美容家電、美容機器、ネイル、エステなどを含む「J-Beauty」産業は、経済規模10兆円、従事者900万人超という巨大市場でありながら、中国や韓国のメーカーに押され気味だ。この状況を打破すべく、自民党は国を挙げて「J-Beauty」戦略を推進している。

国が美容産業に本腰を入れる背景

自民党経済産業部会長の小林史明衆議院議員は、日本の美容業界の現状をこう分析する。「以前は国内ブランドや欧米有名ブランドが主流でしたが、今や中国や韓国の化粧品も人気です。中国や韓国は美容関連産業を国策として位置づけ、国外市場への展開を積極的に行っています。一方、日本では美容業界の連携は希薄で、メーカーやサービス、美容技術といった異業種とのつながりも少なかったのです」

確かに、J-Beautyという言葉自体は以前から存在したが、統一したコンセプトはなかった。国際競争に勝つためには、各分野で統一コンセプトを作り、業界間の横のつながりを深める必要がある。そこで昨年6月、自民党は「J-Beauty産業研究会」を設立。会長には、当時官房長官だった林芳正総務相が就任した。

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林芳正氏が会長に選ばれた理由

なぜ林氏が会長なのか。小林議員は説明する。「林さんは第2次安倍政権で農林水産相を務めたとき、それまで4500億円ほどだった農水産物の輸出額を大きく増大させるきっかけを作りました。林さんは『FBI戦略』を作り、日本の食材を使ってもらう『made from Japan』、そうした食材の普及のためのビジネスの整備や人材育成の『made by Japan』、日本の食を特徴づける食材の輸出を促進する『made in Japan』を総合的に取り組みました」

この成功体験を美容産業にも応用しようというのが、J-Beauty戦略の根幹だ。日本は高い技術力を持ちながら、マーケティングやブランディングの弱さから国際市場で埋もれがちだ。この課題を克服するため、国が旗振り役となって業界全体をまとめ上げる必要があると、小林議員は強調する。

国内市場の縮小と海外市場の可能性

日本の美容産業は国内市場が成熟し、少子高齢化でパイが縮小する中、海外市場への展開が不可欠だ。中国や韓国はすでに国策で海外展開を進めており、日本は後れを取っている。J-Beauty研究会では、異業種連携の促進、海外向けブランド戦略の策定、人材育成、規制緩和など、幅広いテーマを議論している。

「日本の美の技術や製品を世界に売り出す」というコンセプトのもと、日本独自の品質や技術力を前面に出し、アジアだけでなく欧米市場への浸透を目指す。具体的には、日本酒や和食が世界で評価されたように、日本の美容文化を「J-Beauty」としてパッケージ化し、観光や文化と連動させたプロモーションも検討されている。

今後の展望と課題

J-Beauty戦略の成否は、業界の結束と政府の継続的な支援にかかっている。小林議員は「国内のパイを取り合う局面ではない。世界市場で戦うために、日本全体でブランド力を高める必要がある」と語る。また、美容業界の従事者は900万人を超え、経済波及効果は大きい。政府はこの産業を成長戦略の柱の一つと位置づけ、予算や規制改革で後押しする方針だ。

一方で、課題も多い。業界団体の統合や標準化、海外の規制対応、人材不足など、クリアすべきハードルは少なくない。しかし、日本の技術力と美意識が結集すれば、世界市場で再び存在感を示す可能性は十分にある。J-Beautyは、日本の美容産業復活の鍵を握るプロジェクトとして、今後も注目を集めそうだ。

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