米圧力で日銀利上げペース加速、年内追加利上げ観測も高市政権は慎重
米圧力で日銀利上げ加速、年内追加観測も高市政権は慎重

日銀は18日、前回6月の決定から3カ月という異例の短期間で再度の利上げに踏み切った。ベセント米財務長官が日銀への利上げ圧力を強めていたこともあり、市場は追加利上げを確実視していた。市場では年内にもう一段の利上げ観測も出るなど、利上げペース加速の見方も強まる。だが、利上げは景気を冷やす恐れもあり、高市早苗政権の慎重姿勢も相まって、日銀の金融政策は一層難しいかじ取りを迫られている。

植田総裁が利上げ理由を説明

植田和男総裁は18日の記者会見で利上げの理由について「基調物価上昇率を2%程度の水準で安定させる観点が重要になり、政策の局面が変化した」と説明した。

足元では中東情勢の長期化による原油高と、人工知能(AI)関連需要の増加で物価の上昇圧力は高まり、根強い円安傾向が物価上振れリスクになっている。そのうえで「金融環境が緩和的であると考えれば、次は基本的には利上げだ」と利上げの継続を示唆した。

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高市政権の慎重姿勢とリフレ派の反対

だが、成長戦略を掲げる高市政権は利上げに慎重だ。政府の経済財政運営の指針「骨太方針」の原案を巡り、市場は日銀に関する記述を利上げへの牽制と受け止め、「骨太ショック」と呼ばれる長期金利の高騰を招いた。

今回の利上げには、昨年10月の政権発足後に就任した審議委員の浅田統一郎、佐藤綾野というリフレ派の両氏が反対した。

ベセント氏の影響と今後の見通し

政権との間合いを読む日銀に対し、今回はベセント氏が〝助け舟〟を出した。日米両政府は7月末、円買いの協調介入を実施。米側は、円安進行に伴う長期金利上昇が米国に波及することに警戒感を高めていた。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が8月末に開催されると、ベセント氏は植田氏と会談し、「適切な政策」で円安への対応を求めた。ベセント氏が会見などを通じ利上げを期待する姿勢を示すと、市場は追加利上げを織り込み、円安傾向は一服した。日銀関係者は「これだけ利上げが歓迎される状況はない」と驚いてみせた。

植田氏は「(発言などに対する)マーケットの反応が、われわれのアクションに影響が出るのか考えつつ見ていきたい」と述べるにとどめた。

今後の金融政策の課題

市場では今後、半年の間で2回の利上げを見込む観測が強まっており、さらには連続の利上げや一度に0.5%利上げするシナリオも浮上する。一方、景気を刺激も冷やしもしない中立金利の推計値は1.1~2.5%程度とされ、今回の利上げでこの範囲に到達した。今後の金融政策には実体経済が敏感に反応することも予想される。

ソニーフィナンシャルグループの井上哲也エグゼクティブ・エコノミストは「金融政策が後手に回っても引き締めすぎてもいけない慎重を期すべき局面に入る」との見方を示した。

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