霞が関では、来年度入省に向けた官庁訪問の季節が終わりつつある。人事担当者は、人材確保に明るい兆しが見え始めていると語る。もちろん、かつてのようなエリート官僚が復活しつつあるわけではない。時代に合わせた新たな官僚像が出てきつつあるということだ。
この15年ばかり、官僚の威信低下が語られてきた。官僚になっても思いどおりの仕事ができない、民間大企業よりも給与水準が低く、天下り規制もあって経済的に割に合わない、あるいは「ブラック霞が関」と呼ばれるように長時間労働だけでなく意に沿わない仕事も多いといった具合だ。
働き方改革の成果と限界
省庁側も手をこまぬいてきたわけではない。この数年、人事院や内閣人事局、各府省の人事担当者が中心になり、地道な改善策に取り組んできた。例えば長時間勤務については、働き方改革という形で残業削減の努力が進められ、残業時間は急速に減りつつある。育児休業を取得する男性が増えるなど、新たな働き方も定着しつつある。
給与面では、高級官僚について比較対象となる企業規模を大きくするなど、いくらか待遇改善も図られている。転勤の問題など、実態に即した改革も進みつつある。
官僚の多様化と残る課題
官僚の多様化も進んだ。かつては東京大学法学部卒の男性が幅を利かせていたが、この30年間で出身大学の顔ぶれが多様化したほか、法律職偏重という傾向も大きく変わりつつある。女性の採用比率も高まっており、分野による違いはあるものの、今年4月の入省者ではおおむね4割が女性になった。
しかし、こうした改善にもかかわらず、官僚の離職は止まらない。政策研究大学院大学の飯尾潤教授は、根本原因は「職務の中身」にあると指摘する。政策を自ら作らず、政治家への説明・連絡業務に多くの人手を割く霞が関の構造が、やりがいの喪失や離職につながっているという。
問われる「職務の中身」
飯尾教授は、脱ブラック霞が関の次に必要な改革として、官僚が主体的に政策立案に関われる仕組み作りを挙げる。単なる残業削減や待遇改善だけでなく、仕事の質そのものを変えることが、優秀な人材の確保・定着には不可欠だと訴える。
霞が関の改革はまだ道半ばである。働き方の改善に加え、官僚の職務を本来の政策立案へと回帰させる取り組みが、今後ますます重要になるだろう。



