安倍晋三首相の後任を決める自民党総裁選は、菅義偉官房長官が優位に立つとみられる。しかし、石破茂元幹事長も地方組織の支持を背景に逆転を狙う。党内7派閥の動向が勝敗を左右する。
菅氏、派閥横断の支持固める
菅氏は、党内最大派閥の細田派(98人)や麻生派(54人)、竹下派(54人)など主要派閥から支持を取り付けている。さらに、無派閥議員の間でも「安定した政権運営ができる」として支持が広がる。菅氏は9月2日に出馬を正式表明し、早々に国会議員票の過半数を固めたとされる。
一方、石破氏は自身が率いる石破派(19人)に加え、地方組織の支持を訴える。石破氏は「地方の声を政権に届ける」と強調し、地方票の獲得に力を注ぐ。総裁選では国会議員票(394票)と地方票(141票)の合計535票で争われる。
岸田氏、巻き返しなるか
岸田文雄政調会長も出馬を模索する。岸田氏は岸田派(47人)を基盤に、中間派や無派閥議員への浸透を図る。しかし、菅氏の勢いを前に苦戦が予想される。岸田氏は「政策論争を丁寧に行いたい」と述べ、差別化を図る。
総裁選の日程は、9月8日告示、14日投開票の見通し。安倍首相の健康不安を背景に、異例の短期決戦となる。新型コロナウイルス対策や経済再生が最大の争点となる。
党内力学の行方
党内では、菅氏支持が急速に広がった背景に「安倍政権の継続」を望む声がある。菅氏は官房長官として7年8カ月在任し、政権運営の中心を担ってきた。一方、石破氏は「安倍路線からの転換」を掲げ、独自色を打ち出す。
7派閥のうち、菅氏支持に回ったのは細田、麻生、竹下、二階(47人)の4派閥。石破派は石破氏、岸田派は岸田氏を支援。残る谷垣グループ(旧谷垣派、11人)は態度を明確にしていない。谷垣グループの動向が、最終的な票の行方を左右する可能性がある。
地方票が鍵
地方票は、全国の都道府県連ごとに3票ずつ配分される。石破氏は地方遊説を積極的に行い、農業や地方創生を訴える。菅氏も地方票獲得に動くが、石破氏に比べ知名度で劣るとの見方もある。
総裁選の結果は、新首相の政策方向性を左右する。菅氏が勝利すれば、安倍政権の政策継続が確実視される。石破氏が逆転すれば、経済政策や安全保障で大きな転換が予想される。



