高知市は、中心部の繁華街で客引き行為やぼったくりなどのトラブルが多いことを受け、四国の市町村で初めてとなる「客引き等禁止条例」を制定した。客引きや客待ち、勧誘行為を禁止する区域を指定し、違反した団体名の公表や過料を科すことが柱で、市民や観光客の被害を未然に防ぎたい考えだ。
条例の内容と対象区域
市議会は9月30日、条例を全会一致で可決した。客引きや勧誘行為が多い帯屋町や追手筋など市中心部の繁華街や高知駅周辺が対象区域となる。
県迷惑防止条例は性的好奇心をそそったり、歓楽的雰囲気を醸し出したりする接客や行為をした上で、体や衣服をつかむなどしての客引き行為を規制している。市条例はそれを補完する形で、道路や公園、駅など不特定多数の人が自由に通行や出入りできる場所で立ちふさがったり、通行を妨げたりする行為を禁じる。
市長のコメントと背景
桑名龍吾市長は10月2日の記者会見で「警察と一緒に客引きやぼったくりに対する注意喚起をやっていたが、なくならなかった」と説明。その上で、「マニュアルや規則を示し、安全で安心して繁華街を利用できる環境を維持していきたい」と強調した。
市が条例制定に踏み切ったのは、客引き行為がぼったくりの「入り口」になっているとみているためだ。市が6月5~9日の午後9時から1時間、繁華街で調査したところ、市中央公園の北側などで延べ85人が客引き行為をしていた。市にはこれまで「1万円と聞いていた飲食代が10万円と言われた」「複数人で訪れて100万円近く請求された」といった被害が報告されており、市くらし・交通安全課の担当者は「ぼったくり被害を手前で食い止めるのが今回の条例の目的」と話す。
施行スケジュールと関係者の声
条例のうち、客引き行為を禁止する区域指定の規定を今月23日に施行する。25日に「よさこい高知文化祭」が開幕し、県外観光客が増えるためだ。来年4月から条例を全面施行し、行政指導や勧告、違反した法人や団体を公表したり、5万円以下の過料を科したりする。
市によると、客引き行為などを禁止する同様の条例は、全国で約50の区や市で制定されている。飲食店などで作る「県社交飲食業生活衛生同業組合」は7月、桑名市長に条例制定に向けた要望書を提出し、岩田和久理事長は「注意で終わっていることも多い。実効性がある条例にしてほしい」と求めていた。県旅館ホテル生活衛生同業組合の担当者は条例制定後、「せっかく高知に来て宿泊していただくお客様に不愉快な思いをさせたくない。迷惑な行為から守るためには必要だ」と語っている。市は今後、中心部で条例の啓発活動を実施する。