太平洋クロマグロの漁獲枠を巡り、日本が提案した2027年以降の大型魚(30キロ以上)の漁獲枠を25%増やす案が、国際会議で合意に至った。政府の迅速な外交交渉が実を結んだ形だ。
合意に至るまでの経緯
7月に長崎市で開かれた国際会議では、メキシコの反対で日本案は合意に至らず閉幕した。しかし、政府はここで断念せず、山下雄平農林水産副大臣が7月末にメキシコへ赴き、同国の担当閣僚と直接協議。日本側の主張への理解を求めた結果、メキシコ側は日本案を支持する姿勢に転じた。これを受け8月18日、オンラインで国際会議が再開され、大型魚の漁獲枠を25%増やす一方、日本近海では資源維持に小型魚の枠を6%減らす案を軸に合意が成立した。
資源管理と漁業経営の両立
太平洋クロマグロは過去の乱獲で資源量を減らしたが、日本などの関係国・地域が漁獲規制を続けた結果、近年は回復している。日本沿岸ではその反映とみられる大量入網も相次ぐ。だが、定置網にクロマグロが多数入っても、漁獲枠の上限に達すれば魚を逃がし、場合によっては操業を止めなければならない。クロマグロを逃がす際、他の魚も一緒に海へ戻すことになりやすく二重の痛手だ。資源回復に努めてきた漁業者が、増えた魚の漁獲を制限されるのは不合理だ。
日本の案は大型魚の利用を増やす一方、将来の資源を支える小型魚の漁獲を減らすものだ。資源維持と漁業経営の双方に配慮した合理的な内容である。
今後の課題
ただし、18日の合意でこの案が最終決定したわけではない。年内に開かれる全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)と中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の両年次会合で採択される必要がある。今回の合意はそのゴールに向けた大きな前進だ。気を緩めず、両委員会での採択を確実にしよう。



