9日に投開票された和歌山市長選で、無所属新人で前県議の尾崎太郎氏(61)が初当選した。市議補選(欠員3)も3人の当選が決まった。当選から一夜明けた10日、尾崎氏は報道各社の取材に対し、新市長としての抱負を述べた。
尾崎氏は10日朝、和歌山市内の事務所で取材に応じた。現職の尾花正啓市長(73)が出馬せず、6人が立候補した選挙戦を「不安もあったが、結果を聞いてほっとした」と振り返った。取材前には、父親で元和歌山市長の吉弘氏の墓前で「なんとか父の背中に追いつけました」と報告したという。
観光資源を生かした市のブランド化へ
市の課題や今後の取り組みについて、尾崎氏は「県へお越しになった方が和歌山市でなかなかとどまってくれていない。観光資源を生かし、市のブランド化を進めたい」と述べ、魅力ある水辺づくりや地場産業の振興に意欲を示した。
また、証券会社に勤務していた際の営業経験に触れ、「和歌山市のトップセールスマンとして、市長自らが大いに外に出て、和歌山を宣伝していきたい」と抱負を語った。市長の任期は25日から4年間。
投票率37.04%、政策論争の不足が課題
過去最多に並ぶ6人が立候補した今回の市長選は、12年ぶりに現職が出馬しないことで関心が高まったのか、投票率は前回選(31.54%)より向上した。それでも37.04%という数字は少しさみしい。
保守分裂となり、主要政党が推薦を見送った。読売新聞の出口調査では、自民党県議団に所属していた尾崎氏が自民党支持層の39%を固め、無党派層の26%を取り込んだ。尾崎氏とともに自民党県連に推薦願を出した前市議の浜田真輔氏(64)は、自民党支持層の支持が25%にとどまった。
市議会最大会派で自民党系議員らが所属する「創和クラブ」の議員が主に浜田氏を支援してきた。尾崎氏は報道各社の取材で議会との関係の築き方を問われると、「(選挙)結果を議会の方々も受け止めて、建設的な対話をしてくれるものだと思っている」と話した。わだかまりのない関係構築を双方に期待したい。
一方、選挙戦を通じて、政策や公約に関する議論が進んだのかは不透明だ。出口調査によると、全候補者について支持した理由を尋ねると、「政策や公約」を挙げたのは15%。ほかには「人柄」(28%)、「経歴や実績」(20%)、「他によい候補がいない」(16%)との回答が目立った。
投票率が30%台にとどまったこともあり、当選した尾崎氏の得票は有権者の1割にすぎない。「元気ある、笑顔あふれる和歌山市を作りたい」とする市の理想像を実現させるための政策をいかに多くの市民に理解してもらい、実行に移していくか、手腕が問われる。



