トヨタ自動車は、電気自動車(EV)シフトの加速に対応するため、車載電池の生産を内製化する方針を固めた。2026年までに投資額を1.5兆円に拡大し、生産能力を年間30GWhに引き上げる計画だ。これは、同社がこれまで外部調達に依存してきた電池戦略を大きく転換するものだ。
背景:EV市場の急拡大と供給リスク
世界のEV市場は、環境規制の強化や消費者の関心の高まりを背景に急拡大している。2022年の世界EV販売台数は前年比55%増の約1000万台に達し、2025年には2000万台を超えるとの予測もある。こうした中、トヨタはこれまでハイブリッド車(HV)に強みを持ち、EVへの本格参入は遅れているとの指摘があった。
トヨタの佐藤恒治社長は、「EVの普及には安定した電池供給が不可欠だ。内製化により、品質とコストの両面で競争力を高める」と述べている。同社は2026年までにEVの年間販売台数を150万台に引き上げる目標を掲げており、電池の内製化はその達成に不可欠な戦略と位置づけている。
投資計画と生産能力の拡大
トヨタは、電池生産の内製化に向けて、国内および海外の複数拠点で生産ラインを新設する。投資額1.5兆円には、研究開発費や設備投資が含まれる。生産能力は現在の年間数GWhから、2026年には30GWhに拡大する見込みだ。これは、約30万台のEVに搭載可能な量に相当する。
また、トヨタは次世代電池として、全固体電池の量産化も視野に入れている。全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が高く、航続距離の延長や充電時間の短縮が期待される。トヨタは2027年から2028年ごろの実用化を目指しており、そのための研究開発にも投資を振り向ける。
業界への影響と今後の展望
トヨタの電池内製化は、自動車業界全体に大きな影響を与えるとみられる。これまでトヨタは、パナソニックとの合弁会社であるプライムアースEVエナジーなどから電池を調達してきたが、内製化によりサプライチェーンの構造が変化する可能性がある。
一方で、内製化には巨額の投資が必要であり、採算性の確保が課題となる。トヨタは、2026年までに電池コストを現在の半分以下に低減する目標を掲げており、規模の経済や生産技術の革新によって実現を目指す。
業界アナリストは、「トヨタの電池内製化は、EV市場における競争力を高めるための正しい戦略だ。しかし、全固体電池の実用化やコスト低減のペースが計画通りに進むかどうかが鍵を握る」と指摘する。
トヨタは、2023年から2024年にかけて、EV専用プラットフォームを採用した新型EVを投入する予定であり、電池内製化と合わせてEV事業の本格展開を加速させる方針だ。



