伊勢市の伊勢神宮外宮周辺の商店主や住民らでつくる「外宮参道発展会」は、県内在住のインフルエンサー「りょうまい夫婦」を外宮参道アンバサダー「令和の御師(おんし)」に任命した。神宮の式年遷宮(2033年)を前に、SNSを通じて外宮参道の魅力を全国へ発信してもらい、外宮周辺の観光客増加を図る。
「りょうまい夫婦」とは
御師は江戸時代に全国から訪れる参宮客をもてなした神職で、宿泊や食事、祈祷(きとう)などの手配を担った。りょうまい夫婦は、いずれも29歳の「りょうま」さんと「まい」さんの夫婦。全国の観光地を訪れて動画を制作し、投稿サイトのユーチューブやインスタグラムなどで発信しており、SNSの総フォロワー数は約90万人に上る。
任命式と意気込み
7月14日に任命式が行われ、発展会の山本武士会長(63)が2人に任命状を交付。りょうまい夫婦は「伊勢は住んでいる人たちが温かく、食べ物や日本酒、クラフトビールもおいしい。ショート動画を多くの人に見てもらい、伊勢を訪れるきっかけを作りたい」と意気込みを語った。
外宮参道の歴史と現状
外宮参道は、伊勢市駅から外宮へ続く約400メートルの参道で、古くから「お伊勢参りのはじまりの道」として旅人を迎えてきた。1897年(明治30年)の参宮鉄道山田駅(現伊勢市駅)開業後は、伊勢の玄関口として発展。昭和初期には約25の旅館に加え、食堂や土産物店が立ち並び、多くの観光客でにぎわった。
伊勢市観光統計によると、戦前は外宮の参拝者数が内宮を上回っていたが、2005年には内宮の3分の1ほどに減少した。ただ、前回の式年遷宮が行われた13年以降は、伊勢市駅周辺に宿泊施設の開設が相次ぎ、かつての旅館街の役割を取り戻しつつある。昨年の外宮の参拝者数は約267万人と20年前の2倍になった。
新チーム「GPT」の取り組み
発展会では「りょうまい夫婦」のアンバサダー就任に合わせ、30~40歳代の若手メンバーら約10人が外宮参道の魅力を発信する「外宮参道プロジェクトチーム(GPT)」を結成。人工知能(AI)やSNSなどのデジタルツールを活用してガイドブックやウェブサイトを更新するなど、外宮参道に受け継がれてきた歴史や文化を分かりやすく発信する。
GPTのリーダー山村卓也さん(36)は「外宮参道を『お伊勢参りのプロローグ』と位置づけ、伊勢の伝統とデジタルを融合させることで、式年遷宮を見据えた次世代型の地域活性化を図りたい」と話している。



