福岡県は2日、議員や事業者らから県職員への「優位な地位・影響力を利用した不当な要求の防止に関する条例」案の概要を発表した。9日に開会する県議会9月定例会に提出する。
県によると、議員や事業者らの地位を利用した不当な働きかけを定義する条例の制定となれば、都道府県では全国初だという。
条例案の内容と違反時の対応
条例案では、国会議員や地方議員、取引業者・団体の役員・知事や県職員の上司らを対象に、県職員に対する口利きや威圧的な言動などを禁止する。
県内部統制室によると、不当な要求かどうかなどの認定は、弁護士などの意見を踏まえて判断することを検討している。弁護士による事実確認の調査の結果、重大事案と判断した場合は、氏名やその行為の内容を県ホームページなどで公表する方針。「公表は外部の指定弁護士に意見を賜ると思う。客観性を持たせたい」としている。
また、条例案では知事ら任命権者には内部・外部に相談窓口を設置して適切に対応することを求めている。
アンケートで約半数が経験
条例案をつくるにあたり、県は本庁の課長や出先機関の所長などの所属長級以上の243人を対象に、これまで不当な要求や威圧的な言動がなかったかについて匿名のアンケートを実施した。
回答した233人のうち119人(51%)が「受けた、または見聞きしたことがある」と回答した。時期(複数回答)は2022年度以前が57人と最も多かったが、25年度も47人、26年度も31人があったと答えた。
国・県・市町村議員によるものが103件と最も多く、事業者・各種団体が38件、職員が32件、その他5件と続いた。内容は「口利き・不当な働きかけ」が75件と最も多く、「威圧的・侮辱的言動」が45件と続いた。
背景に県政をめぐる一連の問題
行為の内容は、工事の発注で特定の業者の選定を求める働きかけ▽予定価格の事前提供を求める働きかけ▽補助金の採択で便宜を求める働きかけ▽要求に応じなければ議会運営や業務遂行に支障が生じることを示唆する発言、などの回答があった。実際に不当な要求に応じたかどうかなどは調査していないという。
県と県議会をめぐっては、職員の互助会「部課長会」が議長らの政治資金パーティー券を組織的に購入した問題や、職員が他会派からの議会での質問案を自民会派に「横流し」した問題などが相次いで発覚。県は職員の中で議員との上下関係の意識が続いてきたことが背景にあったとしている。
服部誠太郎知事は2日、定例会見で「職員を組織として守ることで、県民の利益を守るための条例だ。県政改革が、検討する段階から具体的な仕組みによって実行する段階に入った」と強調した。
一方、9月定例会では、議員が守るべき基準などを定めた「政治倫理条例案」が、議員提出議案として審議される見通しだ。



