沖縄社会が変わりつつある。政治や基地問題での連帯のゆらぎ、人々のつながりの希薄化、情報空間の分断。連載で見えてきた変化は、本土と似通う。どう読み解けばいいのか。東京科学大学の古波蔵契(こはぐらけい)准教授(沖縄近現代史)に聞いた。
沖縄県浦添市生まれの古波蔵契さんは、東京での研究のかたわら、2年前から那覇市の栄町市場で仲間と「栄町共同書店」を運営している。研究者と地域活動を兼ねる古波蔵さんに、今の沖縄社会がどう見えているのか、語ってもらった。
県民同士の対話が難しくなっている
「県民がバラバラで、政治の話もしづらくなっています」。古波蔵さんは今の沖縄についてこう語る。「中央政府に物言う地域というイメージがありますが、県民同士の対話はどんどん難しくなっている。保守や革新といった政治ブロックだけではなく、友人同士や家族の間でも、架橋できないほど深い認識の溝が生じていると感じます」
沖縄には、まだ連帯する文化が残っているように見えるが、古波蔵さんは「何か問題が起きれば一つにまとまり声を上げるという政治文化は本土よりあるでしょう」と認めつつ、「それは良くも悪くも基地問題によって形作られてきたものです」と指摘する。
内発的な自治の意識が十分に根付かず
「県民世論を無視する中央政府に対し、『沖縄のことは沖縄で決める』と連帯してきた。他方、自分たちの社会を点検し、あるべき社会像を描くという内発的な自治の意識や実践は十分に根付いてこなかったと見ています」と古波蔵さんは述べる。
その考えに至ったきっかけは、2015年に起きた元米兵による女性殺害事件だという。この事件に抗議する県民大会では「怒りは限界を超えた」と書かれたボードが掲げられた。



