福岡県の服部誠太郎知事は12日、県議会の蔵内勇夫議長と県が推進する「ワンヘルス」施策について、啓発イベントなど未着手の事業を当面凍結すると表明した。高額な予算の妥当性や必要性を問う声が高まっていることを受け、外部有識者の検証が終わるまでの措置と説明した。蔵内氏の地元・筑後市に隣接するみやま市で整備中の「ワンヘルスセンター」の名称見直しも検討する。
対象となる事業と予算規模
人と動物の健康、環境保全を一体的に考える「ワンヘルス」の推進について、県は2026年度当初予算で計約8億6700万円を計上。啓発資料を使った学校や大学でのワンヘルス教育、国際フォーラム開催などに取り組んでいる。
県ワンヘルス総合推進課によると、このうち11月に福岡市と筑後市で開催予定だった体験型イベント「ワンヘルスアクション」を中止する。ワンヘルスに関する施策や目標を明記した「推進行動計画」の改定作業を凍結し、県が認定する「ワンヘルスマスター」の講師派遣も取りやめる。凍結する事業の予算額は計約1800万円。
知事の説明と今後の対応
ワンヘルスは世界獣医師会長でもある蔵内氏がライフワークとする理念で、服部氏も2021年と2025年の知事選で「ワンヘルスの推進」を公約に掲げ、庁内に担当課を新設するなど主導してきた。
12日に報道陣の取材に応じた服部氏は、「ワンヘルスは蔵内さんの指図でどうこうしているものではない」と主張。「厚生労働省にワンヘルス対策推進室が設置され、国においても推進体制が整備されつつある。人々の命と健康を守る重要な取り組みだ」と改めて意義を強調した。
一方で、「(予算)額が膨らみ、県民に疑念や誤解も生じさせることになった。非常に深く反省している」と述べた。県は有識者で構成する「行政改革審議会」に施策の必要性や妥当性の検証を諮問する方針で、「(審議会の)結論が出るまで新しい事業に着手すべきではないと考えた」とし、着手済みの事業も「最小限の経費にとどめる」と説明した。



