秋田県庁で21日、県職員がマーケティング視点を取り入れた事業アイデアを鈴木知事ら幹部に直接提案する「マーケティングチャレンジ事業」の発表会が初めて開かれた。観光や福祉、建設など多様なテーマのアイデアが披露され、幹部らは発想の柔軟さを評価しながら率直な意見を伝えた。
マーケティング手法の導入と事業の狙い
昨年4月の鈴木知事就任以降、県はターゲットを明確にするマーケティング手法の導入を進めている。今年度からは、庁内のチャレンジ機運の醸成や企画立案能力の向上を目的に同事業を開始した。マーケティング戦略課が来年度の事業実現を目指すアイデアを募集したところ、25案が集まり、うち4案の発表が行われた。審査員には鈴木知事や神部秀行、谷剛史両副知事、部長らが並んだ。
看護師の移住促進と若者の出会い創出
医療人材対策室の2人は、県内の看護職員の人手不足解消に向け、都会で働く看護師に移住を促す事業を提案した。高校卒業後に約35%が県外に流出している現状を踏まえ、日々の業務や都会での暮らしに疲弊する独身女性の看護師をターゲットに、希望に合った期間だけ秋田で働けるようにするほか、支援窓口を用意し、秋田の暮らしやすさを実感してもらいたいと説明した。鈴木知事は「具体性があり、どうしたら届くのかという点も説得力がある」と評価する一方、「事業化となると、医療機関側の状況など深い分析も必要になる」と注文を付け、「頑張ってほしい」と激励した。
人口戦略課と会計課に所属する2人は、会社の研修を通じて若者の出会いの場を作る事業を提案した。県の調査から若者は婚活などではなく「自然なつながりを求めている」と分析し、生成AI(人工知能)のスキル獲得をテーマにした研修を開き、様々な企業の若者に参加してもらい「学びと出会いの価値をつくる」と訴えた。谷副知事は「考え抜かれた事業」と評価する一方、「『自然な出会い』と言ってしまったら『自然』ではなくなるのでは」と意見を出した。
誘客案や建設業の人材確保案
発表会ではこのほか、水産振興センターの職員が、秋田の日本酒を強みに関西圏から県内への個人旅行者の誘客を目指す事業を提案。技術管理課や建設政策課などに所属する4人は、建設業の人材確保に向け、県外の異業種IT人材をターゲットに据え、就職と移住の相談窓口を一体化した支援の展開を提案した。
応募は25案、今後の展開
県マーケティング戦略課によると、事業アイデアは4~5月に募集し、応募したのは主に若手や中堅の職員で、担当外の提案も多くあったという。馬場俊行課長は「25案の応募は想像以上に多かった。意欲のある職員が力を発揮できる場所も作れた」と振り返った。発表されたアイデアは事業化されるとは限らないが、内容をさらに練り上げていくという。鈴木知事は総括で、「1年でここまで来られるのかと、事業を磨き上げる能力や意欲に感銘を受けた」と手応えを語った。



