構造的な赤字に陥っている郵便事業の在り方を巡り、総務省が郵便サービスの持続的な安定化策の検討を進めている。有識者会議を設置し、来夏の取りまとめを目指している。
電子メールやSNSが日常生活に浸透し、郵便需要が上向くことは期待しにくい。人口減少が進む中で、コスト削減策だけにとどまらず、固定観念を排した抜本的な改革策を検討してほしい。
赤字は4年連続、郵便物数はピークから半減
郵便事業を担うのは民間企業の日本郵便だ。だが全国一律のユニバーサルサービスの提供が郵便法で求められ、公的サービスの色合いが濃い。
総務省によると、郵便事業は令和7年度に322億円の営業赤字を計上した。赤字は4年連続だ。赤字が続く最大の要因は郵便物数の減少で、7年度の郵便物数は117億通となり、ピークだった平成13年度の262億通から半数以下に減少した。近年は人件費や輸送コストの上昇も経営を圧迫している。
こうした状況の中で、日本郵便はこれまで料金の値上げや、土曜の普通郵便配達の休止といった対策を講じてきた。有識者会議でも配達頻度のさらなる減少や、全国に約18万カ所ある郵便ポストの削減などが検討される見通しだ。
郵便局網の活用策も課題
コスト削減策はサービス低下につながり、郵便離れをさらに加速しかねない。有識者会議にはこうした点を十分に考慮した施策が求められる。
郵便局の活用策も検討課題だ。郵便局数は簡易局を含めて全国に約2万4000局あり、コンビニ最大手セブン―イレブンの約2万2000店を上回る。郵便局では住民票の写しの交付といった自治体業務の代行が進むなど、地域の生活インフラの役割も担っている。
政府は来年度から、郵便局網を維持するため日本郵便に年650億円規模の交付金を投入する。それだけの支援をする以上、それに見合った活用策が求められるのは当然だ。
これまでの議論で、有識者からは「郵便局が何をやるかはビジネスベースで考えるべきだ」との発言や、ユニバーサルサービス水準の見直しへの言及もあった。国民生活に不可欠な郵便サービスは何か、そのサービスはどうやって維持するのか。重要なインフラである郵便事業の再設計が求められている。