名古屋市の南山高等学校・中学校女子部は7月28日午後、「海外大に進学した卒業生の話を聞く会」を開催した。約25人の中高生が参加し、会場の女子部図書館に集まった。講師役の卒業生2人が、在校中の留学経験や海外大学への進学を決めた動機、進路決定の苦労などを語った。
卒業生が語った海外進学の動機と準備
講師の一人、小橋理央さんは、高校1年の夏から10か月間フィンランドへ留学し、2024年にカナダのブリティッシュコロンビア大学へ進学した。小橋さんは「慣れない環境に身を置くことで人間的にも大きく成長できたと感じ、大学も成長できる環境が良いと思いました。進学先にブリティッシュコロンビア大学を選んだ理由は、分野を横断して学ぶリベラルアーツ教育に引かれたからです」と語った。
大学受験では海外約10校、国内大は一般受験で4校を受け、2024年4月に一橋大学へ入学。その後、ブリティッシュコロンビア大学から合格通知が届き、一橋大学を退学して9月にカナダへ渡った。併願の理由について小橋さんは「学費面が大きかった。海外大に行けるかどうかは奨学金がもらえるかどうかで決まります。そこで、バックアッププランとして国内大も並行して受験したんです」と話した。
学校のサポート体制と教諭の振り返り
海外大と国内大の併願にあたり、小橋さんは学校からさまざまなサポートを受けた。「海外大を受験する場合、先生を通して出願する必要があります。そのため先生にはたくさんお仕事を頼んでしまいましたね。志望動機や学びたいことなどをアピールするエッセーの製作も手伝っていただきました」と振り返る。
高校3年時の担任だった高木路代教諭は「必要書類を作成するために、小橋さんと何度も面談を重ねました」と語る。「海外大の出願には、推薦書や、学校の特徴、教育方針などをまとめたスクール・プロファイルなどが必要です。面談を通して、小橋さんがこれまで取り組んできたことを一つ一つ振り返っていきました。自分自身を見つめ直し、海外で学びたいという思いをより強くしていく小橋さんの姿が、とても印象に残っています」と話した。
日本と海外では大学の出願時期が異なるため、書類の準備と並行して出願手続きが円滑に進むよう継続的な支援が必要になる。高木教諭は「本格的な準備を始めたのは、小橋さんが高3になってからでした。進学先が決定した後も、本校から海外大へ提出する書類や手続きがあったため、入学準備が落ち着くまでサポートを続けました」と振り返った。
卒業生の話が在校生に与える影響
海外進学後、小橋さんは「南山で身に付けた習慣が生かされている」と感じている。「海外大では、授業外の時間に教授と会って話すことが学習面でも成績面でも重要になります。とくにエッセーが課題の場合、教授に何度も相談してアドバイスをもらったほうが良い成績を取りやすくなるからです。私は高校時代、職員室に通って先生方にたくさん質問していました。そのおかげで、教授と会って話すことに抵抗感はありません。これは先生との距離が近い南山にいたからこそ身に付いた力だと思っています」と語った。
「海外大に進学した卒業生の話を聞く会」は昨年12月に初開催され、この日が2回目。進路指導部長の糟屋徹教諭によると、いずれも「卒業生のほうから持ち込まれた企画」だったという。
糟屋教諭は「最初の会は、アメリカのグリネル大学へ進学した卒業生の谷本眞帆さんからお話をいただきました。谷本さんは日本人の海外進学を促進するNPOに所属していて、留学促進イベントを本校でやりたい、という趣旨でした。今回は、アメリカのリード大学に進んだ名倉有希さんから、『絵本を作ったのでその読み聞かせをしたい』という申し入れがあり、同じタイミングで小橋さんも帰国するので、一緒に留学関係の話もできたら、というお話でした」と説明した。
今回の講演会について糟屋教諭は「中学生が積極的に質問していたのが印象的でした」と振り返る。「参加者の中には高3生もいましたが、中1生や中2生でも海外の進路に興味を持っているというのは、我々としても新たな気付きでした。卒業生から話を聞くことは、在校生にとって一番刺激になりますし、現実感のあるアドバイスになります。卒業生が後輩のために、と声を掛けてくれたことは、とてもありがたいと思っています」と話した。
講演を聞いた中学2年生の一人は、「海外への留学に興味を持っているので、有益な情報をたくさん聞けてうれしかった。先輩たちが学生のうちに大きな決断をしたことに驚き、尊敬しました。私は海外で仕事をすることにも興味があるので、今回お話を聞けてとてもよかったです」と話した。
同校はこの会のほかにも、高校1、2年生に向けて卒業生の話を聞く機会を複数設けている。高校1年生は毎年4月に京都へ行き、京阪神地区の大学に通う卒業生から話を聞く。6月には卒業生を中心とした社会人による外部講師授業を実施。高校2年生は教育実習生が来ている6月に、実習生と同じ学年の卒業生から進路の話を聞く。
糟屋教諭は「ほかにもイレギュラーなものでは、春休みに東京へ行って、東大に通っている卒業生の話を聞く機会もありました。今回の会を含め、こういった機会は今後も大事にしていきたいと考えています」と語った。