東京五輪・パラリンピックの開催から、今夏で5年がたつ。中国発の新型コロナウイルス禍により原則無観客の苦しい大会運営を強いられたが、日本勢の活躍やボランティアによる海外選手団へのおもてなしは、スポーツ史に残るレガシーといってよい。将来のオリ・パラ招致と完全な形での開催に向け、日本のスポーツ界には国民の機運を高める努力を続けてほしい。
国際大会続く一年、アジア大会も控える
今年はミラノ・コルティナ冬季五輪や野球のWBC、サッカーW杯など国際的なスポーツ大会が続き、日本代表の奮起する姿に国全体が沸いた。9~10月には愛知県を主会場とするアジア大会、アジアパラ大会も控えており、トップ選手に寄せられる期待は小さくない。
強化拠点の整備とオリ・パラ連携の進展
文化予算に比べて、スポーツへの国の支援は長らく後回しにされてきた。競技力向上事業の予算が初めて100億円の大台に乗ったのは令和元年度で、その後も同規模の予算が維持されている。東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)に近接する形で元年度に完成したNTCイーストは、五輪競技に加えパラ競技の強化拠点にもなっている。
選手強化や育成、普及などの面で、オリ・パラの垣根を越えた連携もいくつかの競技で進んでいる。2024年パリ・パラリンピックの競泳では、全盲の木村敬一が五輪銅メダリストの星奈津美さんに指導を受け、2大会連続の金メダルを獲得した例もある。オリンピアンとパラリンピアンが互いの長所を取り入れ、競技力や指導力の向上につなげることができれば理想的だ。このような相乗効果も、東京五輪の遺産だろう。
不祥事続くスポーツ界、自浄作用が招致の鍵
残念なことに、近年は競技者による犯罪や大学スポーツで不祥事が続いている。国内競技団体(NF)による不正な組織運営も後を絶たない。統括団体の日本オリンピック委員会(JOC)をはじめスポーツ界が襟を正さなければ、世論の後押しなど得られるはずもない。
東京五輪は感動と興奮の記憶を残してくれた一方で、無観客開催という悔しさも国民の中に残した。完全な形での夏季五輪の開催、不首尾に終わった札幌冬季五輪招致に再び挑戦する上でも、スポーツ界の主体的な取り組みが不可欠だ。



