防衛省は、ウクライナなどの戦場で運用される攻撃型無人機(ドローン)の脅威に対処するため、大量のドローンを撃ち落とす「迎撃用無人機」の導入を急いでいる。短期間で調達できる制度を初めて活用し、9月からの納入を目指す。同省は自衛隊の基地や駐屯地、艦艇の防護を想定しており、長距離攻撃が可能なドローンへの抑止力を向上させたい考えだ。
異例の短期間で調達へ
防衛装備庁は6月、事業者の公募から納品まで約3か月と異例の短期間で行う「早期取得プログラム」を実施し、民間企業から提案を募集した。迎撃用無人機の機種は、最高速力が時速250キロ・メートルや垂直離着陸(VTOL)型などの性能を共通事項で求めた上で、国産で国内の生産基盤を整備できることなどを個別の要件に挙げた。
国内外の38社から提案があり、同庁は7月、ウクライナでロシア軍が使用するイランの攻撃型無人機「シャヘド」の迎撃実績があるドローン企業「テラドローン」(東京)など4社の4機種を実証試験の対象に選定した。海上自衛隊での運用が念頭にあり、海自の基地や護衛艦などで既に試験を実施した。8月中に調達に向けて契約する計画だ。
ドローン環境の変化が背景
同省が迎撃用無人機の導入を急ぐのは、ドローンを取り巻く環境が急速に変化しているためだ。ウクライナやイランの戦場では安価な無人機が大量に投入されているほか、中国も将来的に多数のドローンを運用し、飽和攻撃に使用する可能性が指摘される。
弾道ミサイルや航空機などへの対処を想定する自衛隊の迎撃ミサイルは高価格で弾数も限られ、大量のドローン攻撃への対処が急務となっている。防衛装備品は通常、計画から導入まで数年単位を要するが、他国の動向を踏まえ、海自の今年度予算で対応して早期の調達に踏み切った。
陸自でも実証試験へ
無人機を巡っては、今回の短期調達とは別に、楽天グループがドイツのスタートアップ(新興企業)と提携し、人工知能(AI)を搭載した迎撃用無人機を陸上自衛隊に導入する支援に乗り出す。陸自は近く実証試験を行う予定だ。



