ロシアでウクライナ侵攻後初めての下院選が9月に行われる。唯一の反戦政党「ヤブロコ」は、選挙からの除外圧力を受ける中、ウクライナ情勢に不満を抱く有権者の声を代弁し、議席獲得を目指している。
厳しい選挙環境
ロシアの選挙は厳しく管理されており、2003年以降すべての議会選挙で、ウラジーミル・プーチン大統領の与党「統一ロシア」が勝利している。今回の選挙でも、改革派野党ヤブロコが議席を獲得する可能性は低い。今年初めに行われた世論調査によると、ヤブロコの支持率はわずか3%で、ロシアの下院で議席を獲得するのに必要とされる5%を下回っている。
ヤブロコは1993年に親西側の公務員グループによって設立。ソビエト崩壊後の数年間で成功を収めたが、過去20年以上にわたり議席を獲得できていない。
和平交渉への支持
しかし、ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターが6月に行った調査によると、国民の約64%がウクライナとの和平交渉を支持しており、18歳から24歳の若い世代では78%に上る。
ヤブロコ幹部は、今回の選挙を、「権力者に対して何百万ものロシア人が意思表示をする国民投票」として位置づけ、ウクライナ侵攻に反対する有権者の受け皿を目指している。また、ロシア当局がインターネットを遮断したことに対する不満も追い風になるともくろむ。
党代表の訴え
ヤブロコのニコライ・ルイバコフ代表はモスクワでAFPの取材に応じ、「たとえ1日でも早く平和を実現できるならば、我々の参戦は無駄にはならない」と語った。また、ルイバコフ氏は「これまで以上に核戦争へ近づいていると言われている」と語り、ウクライナ侵攻が核兵器使用の可能性を高めていると警告する。「なぜ、他の誰かが我々の人生を決めるのか。我々はただ生きつづけたいだけ。その機会を与えてほしい」と訴えた。
選挙除外の恐れ
しかし、ヤブロコが選挙で候補者を擁立できない可能性が浮上している。ロシア最高裁は7日、下院選からヤブロコを除外するよう求める保守政党の訴状を受理。最高裁は10日、訴状について審理する。
2022年にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、ロシアはソ連時代を彷彿とさせる不満分子への弾圧を組織的に展開している。ヤブロコに対する圧力も高まり、昨年以降、党幹部が相次いで訴追されている。
国家の監視
ロシアの裁判所は6月、ソーシャルメディアへの投稿でウクライナ侵攻を批判したヤブロコのマキシム・クルグロフ副代表に対し、拘禁7年の実刑判決を言い渡した。昨年には、同党のプスコフ支部長を務めるレフ・シュロスベルグ氏が自宅軟禁に置かれた。ルイバコフ氏も、2024年に死亡した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の写真をSNSに投稿したとして罰金刑を科され、9月の選挙に立候補できない。ヤブロコは、ナワリヌイ氏の妻、ユリア・ナワルナヤ氏の支持を受けている。
ヤブロコのソーシャルメディアを担当するマリヤット・ラマザノワ氏(28)によると、党は若返りを図り、「今では特に20歳未満の間で成長している」と語った。選挙に立候補を予定している約400人の候補者のうち、ラマザノワ氏を含む約3分の1が30歳未満だという。「我々は自由で普通の国に住み、そこで未来を築きたい」と語った。



