米国のトランプ政権は9日、国際刑事裁判所(ICC)を制裁対象に指定したと発表した。ルビオ国務長官は声明で「資金源を断ち切る」と表明した。全面的な制裁発動には180日間の猶予期間を設け、ICC加盟国に対応を求めた。国際社会からは反発の声が相次いでいる。
制裁の内容と影響
制裁によって、米国内にあるICCの資産を凍結し、米国企業とICCの取引を原則禁じる。米国と取引がある世界中の金融機関がICCとの取引に二の足を踏むことで、資金調達が滞る可能性がある。
米国はICCに加盟しておらず、トランプ政権はICCを「米国の主権に対する脅威」とみなして、これまでも赤根智子所長や判事ら個人に制裁を科してきた。今回、組織としてのICCを制裁対象としたことで、トランプ政権が目指すICCの「解体」に向けた圧力を一段と強めた形だ。
ルビオ氏の主張と猶予期間
ルビオ氏は9日の声明で、ICCを「ならず者」と断じ、ICCが米国人を起訴する権限を持つことに長年反対してきたと指摘した。米国の不満は、2024年にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する逮捕状をICCが出したことも背景にある。
ルビオ氏は声明で同盟国に対し、「ICCを抑制することを期待している」と述べ、同調を求めた。
米国の発表によれば、ICCの業務維持に必要な一定の取引については、180日間の猶予期間が設けられた。米政府は「米国の懸念に対処するため、ICC加盟国が外交的・法的な解決に向けて進展を示す期間」としており、各国と対応を協議する可能性がある。
国際社会の反応
一方、日英独仏やカナダなど8か国の外相は9日、共同声明でICCへの「揺るぎない支持」を強調した。米国の制裁について「遺憾で、強く反対する」と表明し、ICCの活動を支援していくとした。
国連のアントニオ・グテレス事務総長も9日、報道官を通じて非難する声明を出し、「ICCの任務を遂行する能力に与える影響に深い危機感」を示した。
高市首相は9日、トランプ米政権がICCを制裁対象としたことについて、X(旧ツイッター)に「我が国は国際社会における法の支配を一貫して重視し、ICCを支持している。今回の措置は日本の立場と相いれるものではなく、深く懸念している」と投稿した。