米国とイランが戦闘終結へ向けて署名した「覚書」は16日、核交渉などのために設けられた60日の期限を迎えた。米側の主目的とされるイラン核問題は本格交渉入りすらしておらず、ホルムズ海峡の正常化も見通せていない。延長の動きはなく、覚書は破綻した形になるとみられる。
覚書の経緯と期限
覚書は米東部時間6月17日に署名され、即日発効した。両国ともに交渉期限の具体的な日付は発表していないが、バンス米副大統領は6月18日の記者会見で、覚書が規定する最大60日の交渉期間が同日から始まったと表明した。この日から起算すると、交渉は8月16日までに終了しなければならない計算となる。
交渉期間は双方の合意で延長が可能となっている。だが、イランのアッバス・アラグチ外相は15日、「米国による覚書違反で敵対的な行為が再開し、(交渉ではない)新たな状況に入っている」と強調し、期間の延長には否定的な考えを示唆した。
履行の停滞と双方の主張
米イランは覚書署名から約1週間で攻撃の応酬を再開させた。イランはホルムズ海峡で自国指定の航路を通らない商船を攻撃してホルムズ海峡を事実上封鎖。米国はイラン関連船舶のイラン出入港を海上封鎖で阻止しているほか、原油輸出許可や資産凍結の解除などの覚書の履行を取り消し、新たな制裁も発表した。
覚書の内容は大部分が履行されておらず、トランプ米大統領は先月、「覚書は契約ではなく、たいした意味はない」とインタビューで発言。イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師も声明で「価値がなく無効」としている。
今後の見通し
米イランは仲介国のパキスタンなどを通して意思疎通は継続している。米側は11月の中間選挙を控え、イラン側も米国抜きに制裁解除の実現は不可能という状況にある。ただ、現時点では双方が損害補償を要求するなど、緊張緩和の兆しはない。協議を再開させるには、双方が改めて前提条件などから確認する必要があるとみられる。



